こんにちは。ちとせの出口です。

実は先月号を諸々の理由からお休みしたので2ヶ月ぶりのHOTTOPICSです。休んでみて感じたのは、私は常に何かしらの文章を書いていたい人なんだなあということ。どんなに忙しくてもHOTTOPICSを書いてるほうが自分自身のバランスがとれるような気がしました。

 

● [東南アジアの現場から] キャメロンハイランド編 最終回

ちとせグループは、今や2割のメンバーが東南アジア(シンガポール、マレーシア、ブルネイ)に在籍しています。そして、いわゆる「大規模な現場」のメインはそれら東南アジアにて展開しているのが現状。つまり、現場感は東南アジアからしか伝えられない!私が毎回取材しに行くわけにもいかないし、何より現地に入り込んで日々奮闘しているメンバーに書いてもらったほうがリアルが伝わるはずと考え、「東南アジアの現場から」シリーズを始めてみることにしました。
第一弾は、”ちとせいちご” の生産拠点、マレーシアのキャメロンハイランド編。全5回に分けて片岡が現場からお届けします。

酒呑んで、人に呑まれる
常秋のキャメロンハイランド
イチゴ生産の最前線で働く人々
ローカルペストを攻略せよ!
・生産者にとどまらず東南アジアでやりたいこと ←今回はココ

生産者にとどまらず東南アジアでやりたいこと

私たちが東南アジアでやりたいことはいちご栽培などの栽培そのものではなく、その先にある「既存の非持続的で非感動的な農業を、もっと持続的でかつ農産物を作ったり食べたりすることで小さな幸せを生み出せるような農業に変えていきたい」という事である。いちごの栽培はその一つのマイルストーンであってゴールではない。食べた人が「おいしい!」と感動するものを作り、どうしてこれは他と違っておいしいの?育て方が違うの?と農業に少しでも興味が向いてくれたら、これ以上に嬉しいことはない。生産者に対しては儲かる農業、社会には安心とおいしさで喜ばれる農業を現場で体現しながら、農業離れする若い世代を惹きつけていく、そんな魅力ある集団を作っていきたい。

現状キャメロンハイランドでは農家さんが市場価格に翻弄されて厳しい状況になっているのをよく耳にする。日本の農協にあたる組織が脆弱なため、需給のコントロールが組織的にされていないということもそのような状況をもたらす一因だ。そして、野菜は重量のみによって価値づけされる場合が未だ多く、とにかく早く大量に生産できる方法、つまり、化学肥料と窒素の過剰投入、そして化学農薬を大量に用いた農業が選択されていく。

この大きな流れの方向性を変えるべく、私たちは現地に溶け込みながら活動している。シンガポールにある兄弟会社のChitose Agri Initiativeと力を合わせ、地道にブランディングをしてきた結果、「ちとせ」というブランドがシンガポールの市場に根を張りつつある。この強みを生かして、現地の農家さんと提携し、安心安全で環境負荷の少ない農法によって作られた野菜に市場価格に左右されない価格を設定し、それを「ちとせ」のブランドで販売していく。こうやってモデルケースを提示することで、重量以外の評価軸でも闘えるという事を広めていきたい。そうすることでキャメロンハイランドの農業がより持続可能な姿になっていくと信じている。

キャメロンハイランドでは先述の通り、化学肥料と未熟鶏糞のみを利用する農家が多く、土壌中の有機物がほとんどない状態で校庭の土みたいに痩せている。それゆえ、土壌の菌叢バランスが悪くなり、作物によっては連作障害が頻繁に発生しており、農家さんはその作物の栽培を諦めている状況が生じている。

生育途中で枯れて疎らになった畑、有機質に乏しい土壌




ちとせが目指す農業に共感してもらい、有機肥料、減農薬をベースに安心安全な日本の野菜を作ってもらっている

一方で私たちと世代の近い熱意を持った若い農家さんも増えてきているように感じる。私たちと提携して日本の葉物野菜を作っている農家さんもそのうちの一つであり、ちとせの目指す農業を共有しながら、ともに安心安全な葉物野菜を食卓へ届けるべく奮闘している。また、ここでは連作障害が故に嫌煙されている野菜の栽培にも挑戦する予定だ。

私たちの持つ土壌改良のソリューションを彼らと共有しつつ、また切磋琢磨しマレーシアの未来の農業、さらには東南アジア全体の農業を、この変わりゆく時代に一緒に形作っていけることがとても誇らしく心が躍る。

*筆者:片岡 陽介(Chitose Agri Laboratory バイオエンジニア)
ちとせに入ってからマレーシアのボルネオ島の山奥で2年、その後キャメロンハイランドを拠点に”ちとせいちご” をメインとした東南アジアの農業プロジェクトを担当

今回で、キャメロンハイランド編は最終回です。

いちごとトマトの自社生産から始まった活動も、今では我々が目指す『農業を、重さで測る産業から品質で測る産業に変えたい』という思いに共感して高品質な作物を生産する農家がでてきたり、インドネシアでも我々の農業を展開したいとお声がけいただいたりと、活動が着実に広がりつつあることを実感しています。

東南アジアで千年続く農業を実現すべく、これからも活動してまいります。

全編を通してご覧になりたい方は、以下よりお読みください。

[東南アジアの現場から] キャメロンハイランド編

 

● シンガポールにて、マイクロバイオーム関連のカンファレンスに参加しました

シンガポールで開催されたカンファレンス「Microbiome Movement – Drug Development & Nutrition Asia Summit」に、ちとせグループ ゼネラルマネジャーの福井健悟が登壇しました。

本カンファレンスは、Asia-Pacificの著名なマイクロバイオーム研究者たちが情報を発信し交流することで、マイクロバイオーム研究の商業的な現実やその先にある医療の新しい未来の実現を目指すことを目的として開催されたものです。

福井はSequencing, Bioinformatics & Big Dataと題したセッションで、「Big Data and Multi-Omic Analysis of Microbiome Samples」の題目で講演を行いました。
※詳細についてはこちら

◯福井健悟(ちとせグループ ゼネラルマネジャー)より

欧米を中心に活況を帯びている「腸内細菌」。食生活や環境に大きく影響される為、欧米での研究結果を商業展開するのはなかなか難しいのではないかと言われるこの業界で、今後、アジアはどのようなポジションになりうるのか。こういう背景から、アジアでは初開催となった産学カンファレンス「Microbiome movement」にて、フローラインデックス社(ちとせグループ)の取り組みに関するプレゼンテーションを行ってきました。まさに腸内細菌黎明期といった感じで、日本をはじめ、韓国、中国、シンガポール、オーストラリアなどからきた各社の代表によって活況な意見が交換されました。標準化を進める日本、事業化を先行させる韓国、アメリカのスタンダードをいち早く取り入れる中国など、各国ならではの方策をとる中、各々の議論が噛み合わないという黎明期ならではの混沌を感じたものの、10年後、20年後にこういうところからアジアの腸内細菌ムーブメントが始まったのだなと振り返れる貴重な機会だったかと思います。

フローラインデックス社の代表であり、かつ日本マイクロバイオームコンソーシアム(JMBC)の運営副委員長 兼 研究開発部会長として日本で活動している笠原の代理としての参加だったため「本当に自分でいいのか?」という思いは拭いきれなかったものの、笠原と夜な夜なプレゼン資料について話し合った結果もあり何とか聴講者には楽しんで頂けたかと思います。こうした海外の展示会を訪問する度に思うのですが、やはり新しい業界や技術がもつ何かを切り開こうとする「熱」は刺激になります。

オーガナイザーをはじめJMBCの方々からこのような機会を頂けたことに感謝いたします。


 

● これだけバイオ燃料が重要視されている時代なのに、藻類バイオ燃料に焦点を絞った会社が潰れるのはなぜ?

2017年よりちとせグループで運営してきた藻の情報サイト『藻ディア』。藻のことを調べていたら必ずといっていいほどこのサイトにたどり着いてしまう、そんなサイトに成長させることができました。そんな藻ディアを通じて、読者の方から度々質問をいただきます。せっかくなので同じような疑問をお持ちの方の役に立てればいいなと思い、質問への回答をご紹介することにしました。

これだけバイオ燃料が重要視されている時代なのに、藻類バイオ燃料に焦点を絞った会社が潰れるのはなぜ?

 

● 東京農業大学の学生が会社見学にきました

東京農業大学の3年生9名が、会社見学にいらっしゃいました。
2017年に新設された生命科学部の第一期生で先輩がおらず、働くことのイメージが湧きにくいとのことから、生命科学部の對馬教授が積極的に学生が会社訪問する機会をつくっておられ、今回お声がけただいたことから開催に至りました。

ちとせグループのメイン拠点であるかながわサイエンスパーク(KSP)にて、ちとせのビジョンや活動の紹介、そしてキャリアパスとして4名のメンバーからの話を聞く機会を設定。2名の学生がKSPから徒歩30分の場所にあるちとせの別拠点で待っていたというトラブルから始まった会でしたが、終始和やかな空気で終えることができました。

どういう話をしたら学生のためになるだろう?とメンバーそれぞれ頭を捻り準備したのですが、いただいた感想を見る限り、意味がある時間だったのかな?と思えたので開催してよかったです。

以下、感想を一部ご紹介(掲載の許可をいただいております)

●ちとせグループの印象としては、考え方や実行力が多角的という印象を受けました。
自分は今日の見学会にいくまで科学➡技術➡事業の順で流れていて、科学から技術が出来てそれを企業や個人、研究機関が事業として利用するものだと考えていました。
しかしちとせグループでは社会問題(課題)についてバイオの観点でアプローチ出来るものを的確にピックアップして、それを事業化して技術を開発して利用(拡大)させていくとのこと。この考え方を基に事業と研究を併存させるということで、『なるほど確かに』と思いました。今までの観点とは違う考え方があるというのがわかってためになりました。

●チャレンジに対して積極的な会社だと感じましたが、そのチャレンジは思い付きだけのものではなく、しっかりと社会問題からの視点に立ちそこからの解決法や技術を考えていくという先を見据えた計画性のある会社という印象を感じました。また、社員の方々も非常に丁寧で社員の方同士での信頼もあるんだなとお話しされている所を見て感じました。

●私の感じたちとせグループの印象は、会社が閉鎖的でなく流動性に富んでいるということです。自社の社員のみでなく様々な会社の社員がフリースペースで仕事をしているのは、説明でもあった通り、自分の考えが小さくまとまってしまうことをふせぎ、さらに意見を客観的にとらえることが可能になるという点で優れていると感じました。
大学での研究は自分のやりたいこと、興味のあるものを突き詰めればいいが、企業での研究ではどのように社会に還元するか、どう利益につなげていくかを考えながら研究をしていく必要があるということや、研究者が研究対象と社会をつなぐ架け橋であるということなどを聞き、今後研究するうえでの目標を見据えることの必要性を感じました。

●4人の方のお話を聞いて、「研究者とは共感を通じて生き物と人間社会をつなぐ存在」という話と「自分がやりたいのは科学か、研究か、ビジネスか」という話が一番心に刺さりました。就活についても、ちとせグループについてもお話を聞かせていただき本当に貴重な体験になりました。ありがとうございました。

●説明をしていただいた中で最も印象的だったのは、微生物を小さな生き物と表現されることに加え、生物を生き物と呼ぶ方が多くいらっしゃり、生物に対するみなさんの温かみを感じたことです。大学に入学してから、植物や微生物を生物と呼ぶことが当たり前のようになり、いつのまにか生き物という感覚よりもモノに近い感覚を持っていることにハッとしましたた。私が実際に大学選択をする際に、小さく、見えない生き物である微生物って面白いと感じ、ワクワクした感覚を思い出しました。もちろん、研究室活動を行う中で、微生物って面白い・すごいと感じることは多くありますが、初めて感じたワクワクとは別のワクワクのように思います。ちとせグループさんについて多くのことを知れたと同時に、より大学の勉強・研究を頑張ろうと考えました。微生物を生き物として愛して、社会と繋げていくことをすごくかっこいいことだなと感じました。

●1番印象に残っていることは幅広く様々な事業を行っているということです。昨日聞いた話だけでも[化石燃料の代わりとなるジェット燃料の製造]、[タンパク質危機に備えた食べる藻の製造]など興味深い事業をたくさん行なっていることが印象に残りました。また、ベンチャー企業に見学に行ったのは初めてで、今までインターンなどで行った会社の中で1番フレッシュな印象を受けました。また、社会課題を発見してその課題を解決するための技術を開発し、事業化するという科学の正しい流れについて学ぶことができたし非常に共感できました。知らないことが多く様々なことを学べた良い見学になりました。ありがとうございました。

左から、農大の学生たち9名と對馬先生、そして今回の会をメインで担当した尾張

 

● 新しいメンバーを紹介します

林 愛子(Project Design Div. Researcher)
高校生の時から琵琶湖の富栄養化や外来種について触れる機会が多く、いわゆる「環境問題」を解決したいと思うようになりました。そのためにはまず、基本的なことを勉強しないといけないと思い、オーストラリアのタスマニア大学で海洋科学について学びました。普段から、夜光虫が見れたり、野生生物に遭遇したり、国立公園や自然保護区域を訪れる機会が多くありました。それに加え、大学での学びを通して、自然環境や特に海洋生態系、微細藻類の美しさに魅了されました。





その一方、海洋・水産関係の研究は主に気候変動が及ぼす影響を調べるだけで、具体的な解決を提示するような研究はされない現状に、フラストレーションを感じていました。そのような中で就職活動中で見つけたのがちとせ研究所で、「目指すべき社会・事業を起点とした技術開発を行う」というビジョンがぴったりはまり、入社を決めました。

私のバックグラウンドを生かし、ちとせという会社を通して、「なんだか知らないけど気づいてたら環境負荷が少ない生活送ってた!」となるような社会を作っていけたらなと思います。


編集後記

先月、ふとおすすめされた「Session-22」というラジオニュース番組(?)を聞き始めたことがきっかけで、中学生ぶりにすっかりラジオにはまってしまいました。

「え、いまさらラジオ?普通にいつも聞いてるし」という方も多いのかもしれないのですが、私にとってラジオは中学以来ほぼ聞くことがなく、全然身近な存在ではなかったのです。

ラジオはひとつひとつの話題を深堀りし、ニュースや世の中のトレンドを見るときの「視点」を提供してくれるところが面白く、テレビからの情報よりも価値ある情報が得られるような感覚があります。

そしてなにより、作業しながらでも聞けるところがいい!!
出かける支度をしながら、料理をしながら、移動しながら、それらの行為を邪魔すること無く情報を摂取できるという意味で、ラジオって画期的!!!と感動しました(笑)

おすすめの番組があったらぜひ教えて下さい!

あ、そういえば、先日ちとせ代表の藤田がNHKラジオに出演しました。
ストリーミング放送で2ヶ月間聞けるそうなので、ぜひ何か作業しながらでも聞いてみてください。

◯ラジオ 仕事学のすすめ(藤田の回は、9/26, 27の放送分です)