こんにちは。ちとせの出口です。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

では、2019年一発目のHOTTOPICSをお届けします!

〈目次〉
2019年のスタートに、代表藤田から一言
ブルネイの展示会に出展しました
東京農工大にて特別講座を担当しました
岡崎フラグメント記念シンポジウムで古澤満が講演しました
藤田の記事を2本紹介します
・そのバイオプラスチックで本当に生態系を救えるか?
・ライザップと大塚家具に見た、組織のために大事なたった1つのこと
新メンバーが入りました!

 

 

● 2019年のスタートに、代表藤田から一言

オープンイノベーションという単語を聞く機会が増えてきていますが、我々が2004年から15年ほどバイオ業界の皆様に可愛がっていただいてコツコツと積み上げてきたことって、まさにオープンイノベーションって単語で議論されていることだよなぁとよく感じます。

また、メンバー一人一人の人生を望むように成立させるための道具として、それぞれが会社という器をうまく使ってくれることが、翻えって会社の力にもなっていくと思って組織運営をしていますが、これはオープンな組織運営だと思っていまして、そのうちオープンオーガナイゼーションって単語も流行り始めるんじゃないかなぁと思っています。

今年の抱負を書けと編集長に指示されまして「年が変わったからって毎日やることは特に変わらねーよ」と相変わらずめんどくさい理屈を言いがちな藤田ですが、強いて言うなれば個人的には今年は今まで以上に「Open!」ってことを意識してやっていきたいなと思っています。

2019.1.7 ちとせグループ代表 藤田朋宏

 

 

● ブルネイの展示会に出展しました

昨年11月末〜12月頭の7日間に渡りブルネイで開催された、「Agriculture: The Country’s and Nation’s Survivability」をテーマとした展示会に参加しました。
当日は、日本, シンガポール, ブルネイのメンバーが総勢6名でアテンド。その中から、昨年ブルネイに設立したTavelmout Biofarm (B) のSarahに当日のレポートをしてもらいます!

国王陛下との集合写真。左から2番目がSarah

◯Sarah Amanina Hj Ahmad(Accounting and Administrative Staff):

Tavelmout Biofarm (B) Sdn Bhd first ever public appearance in Brunei was during Brunei Darussalam’s Knowledge Convention Exhibition that was held on 27th November till 3rd December 2018 at International Convention Center (ICC). This year the Theme of the Exhibition is titled ‘Agriculture: The Country’s and Nation’s Survivability’.

It was a very wonderful experience to share this moment with our Chitose Team (from Japan, Singapore and Brunei) to be able to work together throughout the preparations and during dry-run till the day of launch to ensure that our Company’s Mission and Vision is relayed and delivered through our booth designs, colorful wall banners, videos and the posters (I would have to say our booth was the main attraction, it caught a lot of people’s attention).

Many locals and foreigners were both amazed and excited to see something different and they are hoping to be able to see and hear more about Tavelmout in the near future. When people come by to our booth, the first thing that catches their eyes is the concept of Raw Frozen Liquid Spirulina.

They have never heard of Frozen Liquid Spirulina before and it is interesting when they share their stories of consuming Spirulina in forms of tablets or powder in the past.

Hearing them sharing their childhood stories of consuming Spirulina brought joy because it felt like we were connected to our audience and bringing them back to both their good old times and happy memories.

You can see how each customer reacted differently, when they shared their stories and how it triggers different memories and emotions.

On the other hand, we were making new memories to cherish as we were very lucky and fortunate to be a part of the Knowledge Convection Exhibition this year.

Our Booth during the Knowledge Convection Exhibition, 27th Nov till 3rd Dec 2018

 

The crowd and audience during the first 3 days of the Exhibition.

 

All Girls Secondary High-school students visiting our booth to know more about Chitose Group and Tavelmout.

 

It was an honor and a privilege that our Team had the opportunity to present 1 to 2 minutes on Chitose’s Agriculture Land Dream Map and the intention of establishing Tavelmout Biofarm (B) Sdn Bhd in Brunei to His Majesty the Sultan and Yang Di-Pertuan of Brunei Darussalam, Sultan Haji Hassanal Bolkiah Mu’izzaddin Waddaulah ibni Al-Marhum Sultan Haji Omar ‘Ali Saifuddien Sa’adul Khairi Waddien(※) and to members of the Royal Family. It was such a breath-taking moment to get a Group photo with His Majesty.

Our CEO, Dr. Tomohiro Fujita and Business Development member, Mr. Ryo Iko presenting to His Majesty during the visit to our booth

 

I hope that in the future, we will be able to explore more on the feedbacks from the global market, to spread awareness of the benefits of consuming our Tavelmout, to increase the survivability and sustainability of the world’s and Brunei’s Agriculture sector and to contribute back to the Nation by achieving Brunei’s Vision of 2035.

メンバーが考え抜いて作り上げたブースはとても魅力的で、会場でも一際目立っていたとのこと。ブルネイ政府の役人からもお褒めの言葉があったとか。ちとせのビジョンとミッションがメンバーの努力で適切に伝わり、今後の展開に繋がる素晴らしい機会となりました。

ちなみに、個人的な驚きポイントは、
①ブルネイ国王はセルフィーに応じてくれる
②イスラムギャルもピースサインで写真に写る
の2点です。

 

[おまけ]

ブルネイの紙幣に描かれたイラストを見て、国王陛下とちとせのメンバーが一緒におさまっている写真が本物であるという実感を持ちました。

 

 

● 東京農工大にて特別講座を担当しました

ちとせ研究所フェローの東田が、自身の出身校(のひとつ)である東京農工大学にて特別講義をさせていただきました。

タイトルは「産業微生物ビジネスの最前線」

東田は、いわゆる大企業のバイオ部門(微生物を用いたものづくり系)で20年以上にわたり研究開発に従事したのち本社の事業開発に移り、その後ベンチャーであるちとせに入社して発酵事業を担当しています。(ある日、ちとせの代表藤田にアポをとった東田。藤田は、元々東田と仕事上のお付き合いがあったことから「お仕事もらえるのかな〜」と思いつつ会ったそうなのですが、予想外に「ちとせで働きたい」と告白されてびっくりしたとのこと。)

今回の講義は、東田が産業微生物の世界で大企業とベンチャー企業のどちらも経験しているという点が大いに生かされた、学生にとってためになる講義になったのではないでしょうか。(今となってはこういった話の貴重さと面白さが分かりますが、自分が学生時代のことを振り返ってみると・・・)

◯東田 英毅(ちとせ研究所 フェロー):

東京農工大学工学府(小金井キャンパス)で特別講義をしてきました。

大学院の⽣命⼯学ビジネス特別講義(修士)/⽣命⼯学産業特別講義(博士)の中の一コマとして、「産業微生物ビジネスの最前線」について語りました。農工大は出身大学(のひとつ)ではありますが久しぶりの訪問。講義もこちらでは6年ぶり。出勤簿に押印する部屋がわからずに学内を彷徨ってしまいました(建物ごと移転していた!)。もちろんキャンパスの基本構造は変わりませんので、生協とかグラウンドとか見ながら、しばし懐かしさに浸りました。

出席してくれた学生は20人ほどでした。200人ぐらいの大講義と比べて顔が見えやすく、どんな話し方をすると興味を持って聞いてもらえて、どうなると寝てしまうかもよくわかります。今後の自分自身の講義術の研鑽にもなりました。COP24の開催期間でもあったため、まず、いま世界で何が議論されているのかを、バイオエコノミーを例にとってお話ししました。次に、微生物を使ったビジネスの立上げ例として、分裂酵母を使った酵素や有機酸の生産技術開発について20年ぐらいかけてこつこつ事業にした自身の経験と、ちとせが2年間でロケット立上げしたタベルモ事業を対比して、会社の規模や業態による仕事の進め方の違いを説明しました。

質問や途中の問いかけから、学生さんはやはり「研究」マインドが強いことがわかりました。もちろんそれはとても良いことですが、その前提で、企業がどのような人材を求めているのか、企業での研究・開発はどんなものか、自身の未来の姿を想像しつつ、考えてもらうきっかけになったかなと自負しています。

講義終了後には(学生さん自身が研究で使っている)大腸菌が発現しなくて困っているのですが、といった何とも答えにくい質問もいただきましたが、「発現屋」(微生物で酵素などのタンパク質をつくる技術者)という、これまでの仕事の一面が印象づけられたみたいで、良かったとも思いました。

 

 

● 岡崎フラグメント記念シンポジウムで古澤満が講演しました

「岡崎フラグメントは進化を駆動する」というタイトルで講演する古澤

岡崎フラグメントをご存知ですか?岡崎フラグメントを知らない人も、DNA複製の仕組みはなんとなく習った記憶があるのではないでしょうか。

DNAの2本の鎖はそれぞれ異なる機構で複製します。片方の鎖はスムーズに、もう片方は効率が悪いと感じる不連続な仕組みで複製するのですが、この不連続なDNA複製の原理を発見したのが故岡崎令治博士。その際にできる短いDNA断片は『岡崎フラグメント』と呼ばれています。

DNA replication zh.png

この不連続なDNA複製の発見から半世紀を迎えた2018年、『岡崎フラグメント/不連続複製50周年記念シンポジウム』が名古屋大学で開催されました。
▷プログラムの要旨はこちら

そこで、ネオ・モルガン研究所(現ちとせ研究所)の創業者 兼 最高科学顧問の古澤満が招待いただき講演したのですが、その関連性は「DNAの複製機構」にあります。

岡崎令治・恒子夫妻らによって1968年に発表されたDNAの不連続な複製機構に違和感を感じて長年心にひっかかっていた古澤は、その発表から実に20年後、コーンバーグ博士の講演を聞いている最中に突如思いついたのです。生物が無駄に複雑な仕組みをとるはずがない。生物は、シンプルな複製を行う鎖で遺伝情報を担保(=保守)し、不連続な複製を行う鎖で進化(=革新)するのではないかと。
▷より詳しくは、以下の古澤満コラムを御覧ください
第8回『進化を目の前に見る事は可能か? ― ②偶然の出会いときっかけ ―』

古澤はこの考えを、「不均衡進化理論」として1992年に提唱(※)しました。

このように、古澤の成果は、岡崎氏の発見があってこそなしえたものなのです。古澤の話を聞いていると、岡崎氏を始めとする生物学の歴史上に名を連ねる人物が出てくることに実に驚くと共に、新たな成果は、過去の偉人の成果の上に成り立つものなのだということを実感させられます。

シンポジウム当日の古澤の感想、是非以下のコラムで御覧ください。

『岡崎フラグメント — 不連続DNA複製モデル 50周年記念国際シポジウム』に参加して[第38回 古澤満コラム]

シンポジウム当日の集合写真。最前列の一番右が古澤

余談ですが、ネオ・モルガン研究所(現ちとせ研究所)は元々、古澤の「不均衡変異進化論」を実証するためにできた会社です。バイオベンチャー設立ブームだった2000年代初期にベンチャーキャピタル(VC)の出資により設立されました。当時のストーリーが以下に掲載されているのでご興味のある方はどうぞ。

試験管の中で進化を実現する 不均衡進化理論が柱─ネオ・モルガン研究所
※2005年8月号のJST NEWSより

※Furusawa, M., & Doi, H. (1992). Promotion of evolution: disparity in the frequency of strand-specific misreading between the lagging and leading DNA strands enhances disproportionate accumulation of mutations. Journal of Theoretical Biology, 157(1),127–133.

最後に、岡崎令治博士の共同研究者であり、且つ奥様でもある恒子博士のことを少し紹介させて下さい。(今回のシンポジウムでもご講演されていました)

恒子博士は、女性研究者の草分け的存在です。
今では活躍されている女性研究者も多くいますが、昔は女性は家庭を守ることが第一だという風潮が強く、そんな時代の中で家庭と両立しながらも研究を続けて成果を出し、地位を築いた恒子博士の苦労は想像しても想像しきれません。

生命誌ジャーナルのサイエンティストライブラリーに、日本の生命研究を築いた研究者として恒子博士のストーリーが掲載されているので是非御覧ください。

[生命誌ジャーナル]岡崎フラグメントと私

[おまけ]生命誌にかつて掲載された古澤の記事
進化は一瞬で起きる-体内に宿る進化の力

 

 

● 藤田の記事を2本紹介します

JBPressで連載中の『内側から問い直す日本のベンチャー業界の“常識”』シリーズ。

『日本のベンチャー業界を少しでも健全なものにして、世界視野で見たときの日本の競争力を上げるためにも、私のような、いろいろありながらもVC投資のフェーズを既に通り抜けた(?)立場の人間が社会に対してできる責務だと勝手に思って、今回もバイオ業界周りで起きている現実について書いてみたいと思います。』と語る藤田の連載第四弾、是非御覧ください。

そのバイオプラスチックで本当に生態系を救えるか? 内側から問い直す日本のベンチャー業界の”常識”(4) | JBpress(日本ビジネスプレス)

※ちょうどシンポジウムの話題の中で、「ネオ・モルガン研究所は2000年代初期にベンチャーキャピタル(VC)の出資により設立された」と書きましたが、藤田がネオ・モルガン研究所の代表になった後、藤田がVCから株を全て買い取りました。よって、現在のちとせグループには一切VCのお金は入っていません。

▶過去の連載記事はこちらより御覧ください
第一回:ベンチャー業界は「死の谷」を言い訳にしていないか?
第二回:「最優秀賞」をもらえるビジネスプランの描き方 内側
第三回:起業するなら「誰かに褒めてもらおう」と思うな!

また、NewsInsightの連載『藤田朋宏の必殺仕分け人』の第二弾も公開しています。

ライザップと大塚家具に見た、組織のために大事なたった1つのこと

今回からイラストも藤田が担当しているのですが、無駄にうまくてびっくりしました。さすが美術部出身です。(&サッカー部にも所属していたそう)
※完全に藤田本人の希望で描いています

 

● 新メンバーが入りました!

先月は女性が二人増えて居室の華やか度が増しました。
1人は日本人で1人はイラン人。ちとせ初、西アジアのメンバーです!

◯伊東 亜希子(タベルモ 販売企画部):
2018年春。転職を志していた私にとって理想の会社とは、

①商品・サービスに将来性と魅力があり、ワクワクしながら仕事ができること
②業務や周りの人を通して学びが得られること
③担当業務の枠にとらわれず、今までの私の経験を活かした様々な仕事ができること
④日々の大半の時間を過ごす場所としてよい環境であること
⑤私を採用してくださること【重要】

そして年の瀬12月。見事全てが合致する会社と巡り合うことができました。
2019年は会社に理想の社員と思っていただけるよう頑張ります。
よろしくお願いいたします!

 

○Zhaleh K. Nezhad(研究開発部 リサーチャー):

When I was graduating from my PhD course, and after several years of doing research, I became more and more certain that pursuing an academic career and merely doing research and publishing papers will not be enough to satisfy me. I wanted to work somewhere where I could apply the research outcomes directly in the day to day life and have an impact on the society.

My first attempt in achieving that goal was not successful since the managers’ point of view and mine didn’t match despite their primary promises. When I was searching new opportunities, I found some biotech companies including Chitose Group. After studying the company’s website, I was somehow confident that it was a right match for me and I was lucky enough to be able to join. I have several reasons for joining the Chitose Group, but I only mention the most important three for me with the hope of not boring you, at least not too much :D.

Firstly, I wanted to work in the biotech industry since it is extremely revolutionary and is changing the concept of various other industries such as pharmaceutical, agriculture and environment in a fast pace and Chitose is a biotech company involved in various domains.

Secondly, I wanted to work at a company where both research and business would be done in parallel like 2 sides of a coin that cannot be separated. As a researcher it is of great importance to me to be able to apply the research outcomes directly in the business, so the society can truly and directly benefit from the advantages. This reason and the fact that Chitose is active in many different industries, expanding rapidly, and have successful research outcomes combined with businesses, didn’t cease to amaze me.

Finally, the open-minded managers who would give you the possibility to try new things and choose the areas/positions/industries you want to be involved in based on your interests were very fascinating to me. This combined with the friendly and open atmosphere, the collaborative culture and the fluid, relaxed and flexible environment that accepts you bringing your true self to the office left me no hesitation to join Chitose.

I still remember walking out of the company after my round of interviews that were very informative and friendly and after my final interview with Dr. Fujita, which was very interesting and surprising (he told me I could bring my true self to work as an Iranian, and that I could choose the areas I want to work on), thinking about these makes me confident that this is definitely the company I want to work at.

 

2人とも、ちとせの柔軟性あるカルチャーやチャレンジできる刺激的な環境に魅力を感じて入社を決めてくれたようで、とても嬉しく思います。と同時に、今後もこうした環境を維持し続けられるよう、一人一人が努力し続ける必要があると感じています。(個人的には、英語の必要性が日々増しているという事実への恐怖が半端ないです)

 

編集後記

いつも以上に人との交流が多かった12月。人に会えばその分、嬉しいことも嫌なことも起こりますよね。

昔は、嫌な想いをすると、「とにかく嫌だ、腹が立つ、辛い、悲しい」と、感情に支配されることが多かったように思うのですが、最近はそういう出来事があると、「あれこれ考えるきっかけができた。さあ私は何を感じて何を考えるのだろう」と、自分で自分の心の動きを観察するようになりました。(もちろんいつでもこんな冷静なわけではなく、真っ只中のときはどっぷり浸かりますが・・・)

これができると、全ての出来事を最終的にはプラスにもっていくことができるように思います。例えば、誰かに対して物凄く腹が立った時は、自分を腹立たせた相手の行動や言葉を振り返り、反面教師にするぞと自分に言い聞かせます。

12月のとある日。私が傷つくことばかりを言われる機会がありました。悲しくなりながらも、なぜこの人はこんなことばかり言うのだろうかと考えた結果出た答えの一つが、「想像力の欠如」でした。

そこで思い出したのが、“ゆめも、やさしさも、想像力から生まれる”というACジャパンのCMの中に出てくるフレーズ。耳にした記憶がある人も多いのでは?

私はこのフレーズがCMで頻繁に流れていた時(2014年〜2015年頃でしょうか)はなんとなく耳に残るのみで特に気に留めていなかったのですが、「想像力」について考えていたある日、ふとあのフレーズを思い出し、確信をついているなと関心してしまいました。

様々な人と関わりながら楽しく仕事をするためにも、「想像力」を大切にしていきたいものです。

 

次回のHottopicsは2月上旬を予定しております。
ご意見、ご感想、お問い合わせは「news@chitose-bio.com」まで。