こんにちは。ちとせの出口です。
「あーもう新しい年になっちゃった!」という焦りはいつの間にかなくなり、あっという間に2019年が馴染んできました。


 

● 「お互いを知る」をテーマに新年会を開催

たくさんのプロジェクトが同時進行しているちとせでは、普段仕事で直接関わることのないメンバーがたくさんいます。そんなメンバー同士がコミュニケーションをとれるように、もっと皆のことが知れるようにというテーマで幹事の人たちが新年会を企画してくれました。

・え、元DJだったの!
・2ヶ月前に子供産まれてるとか知らんー!
・最近見ないと思ったら、ラボに籠もって自分で契約した仕事を自分で実験してるんや!

クイズのBGMは生演奏

久しぶりに話したメンバーも多く、知らなかった話を聞けたことで、またひとつ距離が縮まった気がしました。直接的に仕事に関係ない話でも話せるという心理的距離感が、仕事のしやすさに繋がる面があるなと感じます。

ところでみなさん、良い仲間(=お友達)をつくるにはどうしたらいいと思いますか?
それは、「いい仕事をすることだ」と、会社としても個人的にも大変お世話になっている清水昌先生(※)がご挨拶でおっしゃいました。いい仕事をすればお互いに尊敬し合うことができる、そうすれば “良いお友達” になれる、と。

いい仕事とは、必ずや「誰かの役に立っている」ということ。それが、短期的には目の前の誰かかもしれないし、もっと長い目で見たら未来の誰かかもしれない。

ちとせが目指している世界が、私達が生きてる間に完成することはありません。でも、未来へと続くプロジェクトを一つずつ社会に埋め込んでいけば、きっと “未来の当たり前” は変わるはず。

今ちとせでは、実にたくさんのプロジェクトが動いています。一つ一つ社会へ埋め込んでいくためにはまだまだメンバーが足りません。「社員」という形に限らず、様々な形で仲間を募集しているので、少しでも気になったら是非声をかけてくれると嬉しいです。

※清水昌先生
京都大学の発酵生理及び醸造学研究室の前教授。現京都大学名誉教授。ちとせグループの発酵技術顧問。
微生物の新機能の探索と開発の研究をとおして、様々な代謝経路・反応・酵素を発見し、微生物のユニークな機能を利用する有用物質生産の基盤となる研究を展開してきた人物。
以下、約10年前の清水先生講演記録。清水先生の人柄含め本分野の概要や先生の功績が非常に良くわかり、とても読みやすい内容です。http://stu.isc.chubu.ac.jp/bio/public/ann_rep_res_inst_biol_funct/annual-report_v8_2008/pdf/003.pdf

新年会と同日に開催した新入社員向けセミナーの様子。左が旧ネオ・モルガン研究所(現ちとせ研究所)創業者 兼 進化学者の古澤。右がちとせグループ創業者 兼 代表の藤田。2人の言いたいことはどのくらい新メンバーに伝わったのでしょう。もしかしたら数年後に理解できる日がくるのかも。


 

● 2nd FOOD PROTEINS ASIAにてタベルモ事業の講演をしました

バンコクで開催された『2nd Food Proteins Asia 2019』にて、Chitose Agriculture InitiativeのDirector 兼 タベルモの執行役員 最高財務責任者を務める福井が参加しました。

参考)17億円の資金調達を実施したタベルモ社の目指す未来とは?

◯福井 健悟(Chitose Agriculture Initiative Director 兼 タベルモ 執行役員 最高財務責任者):

1月21日から23日にかけてバンコクで開催された2nd Food Proteins Asia 2019で講演を行いました。会場にはADM、Cargill、Wilmarなどの大手サプライヤー、Dupond DaniscoやNestleなどの食品材料メーカーに加え新規技術や原料を保有したベンチャーをはじめとした40名ほどが参加。次世代のタンパク質源やそのプロセスについて熱気のあるプレゼンテーションが行われました。

今回は藻類のタンパク原料としての可能性とちとせグループとしてのタベルモを通じた活動について講演およびパネルディスカッションに参加しました。

パネルディスカッションの様子。一番右が福井。

近年「食への認識」が高まり、より健康的な植物性のタンパク原料のニーズは高まっている中、会場からも藻類たんぱくに対する期待が多く聞かれました。それと共により詳細な健康への寄与や扱いやすさなど様々な質問が上がったことからこういった情報の重要性を認識。特に価格については期待値が高く大きなミッションを帯びている事を改めて実感しました。

またアジアにフォーカスした展示会だったこともあり欧米に比べ豆腐やテンペ(インドネシア発祥の、大豆などをテンペ菌で発酵させた醗酵食品)、豆乳などの植物性タンパク食材、昆虫タンパクの食経験もあることから欧米でのブームに留まらず、どうアジアらしい植物性タンパクの市場を作り上げるかという事も多く聞かれました。むしろ将来的にはアジアから欧米へ輸出するという、今までとは違うアプローチが主流になりつつあるのかなと感じています。藻類は食経験という意味でもアジアでは親和性があるのではないかと考えています。

こうした機会を狙っているのかフランスから藻類飲料を作るベンチャーが参加しており会場が閉まった後もCEOと2時間ほど激論。ただよくよく話すと置かれている立場は我々と同じであり、実際にはコンペティターというだけでなくコラボレーターとしてより藻類を手の届きやすい商品にしていこうという事で意気投合。こういった場面もこうした展示会ならではなのではないかと思います。

シンガポールに赴任してから展示会に参加する事が少なくなり、久しぶりの参加ではありましたが改めてこうした場で講演し様々な業界関係者、同業者と情報交換する事の重要性を実感しました。シンガポールから距離が遠いという事で少し足が遠のいてましたが今年はアメリカやヨーロッパの展示会に復帰できないか企んでいます。

読者の方々で海外のオススメの展示会や講演できるところありましたら是非教えていただければと思います。


 

● マレーシアにて有機質肥料のトライアル販売を開始

マレーシアのSime Darby Plantation Berhadと共同で商品開発した有機質肥料のトライアル販売を開始しました!
▶詳しくはこちら

Trichoderma fortified compost

パームプランテーションでは、化学肥料や化学農薬の大量散布と単一大規模農業の影響で土壌微生物叢のバランスが偏ることにより、パーム樹を病害にかける「ガノデルマ」というキノコの発生が大問題となっています。

そこで、パームプランテーションを持続可能な産業にするために、Sime Darby Plantationと共同で、土壌微生物叢をあるべき構成にするためのちとせ独自の技術「CSF(Chitose Soil Flora)」を用いて有機質肥料を開発しました。

今回開発した有機質肥料は、ガノデルマ属糸状菌に対して抑制効果のあるトリコデルマ属糸状菌を肥料中で増殖させた有機質肥料です。トリコデルマ属糸状菌は、病原菌に対する抑制効果を発揮するだけではなく、土壌微生物叢を構成する重要な微生物の1つ。病害を抑制しながら土壌環境(菌叢)を豊かにすることによって、根本的に病気にかからない土壌づくりを目指します。

また、本資材の製造にはパームプランテーションから発生する有機質廃棄物を原料として利用できることから、循環型の営農プロセスであることが大きなポイントです。

ガノデルマを調査しているCSF開発者の三本(@ボルネオ島)

CSF(Chitose Soil Flora)は、コンポスト製造プロセスを改良することで、コンポスト中で目的の微生物を安価に増やす独自の農業資材製造技術です。今回トライアル販売を開始したパームプランテーション用の有機質肥料以外に、中国などでも開発の話が進行中。

今後の展開が楽しみなプロジェクトの一つです。

 

● ワンピースに学べ! 「官民ファンド役員辞任騒動」で報道すべきだった、真の論点

NewsInsightで連載中の『藤田朋宏の必殺仕分け人』シリーズ。

第三弾では、皆様の記憶に新しいであろう「産業革新投資機構の騒動」に関して藤田独自の見解を展開しています。
ワンピースに学べ! 「官民ファンド役員辞任騒動」で報道すべきだった、真の論点

無駄に絵が上手い藤田

第一回:「選択と集中」が進みすぎた、日本の科学技術への投資
第二回:ライザップと大塚家具に見た、組織のために大事なたった1つのこと

 

● 新メンバーが入りました!

◯野村 未来(経営統括部):

『学生時代から12年過ごした北海道から関東に戻り、総務や経理の仕事をしたいと思って転職活動をしている中で出会ったのがちとせでした。

正直、面接を受けるまではどんな会社かよく分かっていなかったのですが、面接官の野本さんの話を聞くうちに「あれ、この会社楽しそう・・・。」と思いがむくむく。元々理系畑で育ったので雰囲気が合いそうだったことや、仕事内容もマルチにいろんな事ができるところが自分に向いてそうだなあと感じて入社しました。

入社してまだ日が浅いですが、経営統括のメンバーも研究職のメンバーも楽しく良い人ばかりです。新年会もたくさん笑って飲みすぎました。

早くみなさんの力になれるように頑張ります!!』

 

編集後記

時々、本当に時々なのですが「人と同じ」を求めて苦しくなることがあります。

単一民族国家だからなのか教育の影響からなのか、日本人は基本スタンスとして「同じ」がベースにあるからこそ、ちょっとの「違う」が目立ってしまうように思うのです。

様々な民族が集まるアメリカやシンガポールのように「違う」がベースの社会であれば、むしろちょっとの「同じ」がすごく貴重に感じられて、その関係性を大切にできるのかも?

「違う」がベースの方がみんなに優しい社会な気がする、今日このごろです。

 

次回のHottopicsは3月上旬を予定しております。
ご意見、ご感想、お問い合わせは「news@chitose-bio.com」まで。