みなさま、こんにちは。ちとせの出口です。

街の装飾がクリスマス調に切り替わり、年末の空気感を徐々に感じつつあります。
まだ早くない?と今は思うけれど、あっというまに年末を迎えるのでしょうね。

 

 

● 千年農業の活動を日本でも開始!第一弾は新潟県長岡市と

written by 北村玲雄奈(Tech & Biz Development Div. マネジャー)

ちとせグループではこれまで東南アジアにて環境負荷の低い農業を展開し、シンガポールやマレーシアを中心に我々のストーリーに共感いただけるファンを増やしてきましたが、この度、国内でも持続可能な農業を拡げる「千年農業」の取り組みを開始致しました。
これまでの東南アジアの取り組みについては当記事を参照 

作物本来の味を楽しめて栄養素が豊富な「健全な作物」は生態系が豊かな「健全な土壌」から生まれるという考えのもと、バイオの視点からこうした健全な土壌に太鼓判を押すことで、健全な作物が当たり前の様に食卓に並ぶ未来を作る一翼を担うことをちとせグループは目指しております。

こうした健全な土壌を国内で拡げる活動の第一弾として、国内有数の水稲の作付面積を誇り多くの地場野菜を有する新潟県長岡市と取り組みをスタート致しました。初年度となる今年は、長岡市主催のうまい米コンテストで受賞した一握りの農家で構成される金匠米生産者に土壌環境調査を実施しました。結果的に全ての金匠米生産者の圃場において、豊かな生態系が維持されている健全な土壌であることが明らかになりましたので、「千年農業」の認証シールが付いた金匠米が新潟県内や都内スーパー/百貨店にて販売をスタートしております。
[プレスリリース]新潟県長岡市とちとせグループ ちとせグループが掲げる『千年農業』を拡げる活動の日本第一弾としてコラボレーション

今回、私も実際に長岡市内の圃場を廻り、土壌サンプリングを行う傍ら、多くの生産者と意見交換しました。フェーン現象によって40℃近くまで気温が上がった8月中旬、栽培や土作りにかける強い想いを生産者から直接聞かせていただいたと同時に、自らの圃場環境に合った栽培方法を試行錯誤し続け、箱入り娘を育てるように手塩にかけて圃場管理を行う様子を垣間見ることができました。一方で、市内生産者の高齢化が進んでいる現状を目の当たりにし、圃場の引継ぎ先について諦めざるを得ないと語る金匠米生産者もおりました。ちとせグループでは、こうした長年の努力により豊かな生態系が維持された健全な土壌の状態をバイオの知見から明らかにすることで、新規就農者が生態系豊かな圃場を引き継ぎやすくなる助けになればと考えております。

長岡市にて土壌サンプリングを行う筆者

山古志村の山間部に位置する金匠生産者の圃場

長岡市の中でも山間にある山古志村の棚田を眺めていると、ちとせの自社農園があるキャメロンハイランドの光景が頭に浮かんできました。標高約1,400mに位置するマレーシアのキャメロンハイランドでは切り開いた斜面に多くの農園が拡がっており、夜には電照菊農家の光で幻想的な光景となるのですが、夕暮れ時の山古志村の棚田の様子もそれに劣らぬ素晴らしいものがありました。

土壌環境を守り続けることは健全な作物を世の中に広めていくことに繋がるだけではなく、地域の景観/風致を維持することにも繋がることを改めて感じる機会にもなりました。

現在ちとせグループでは、長岡市を皮切りに複数の自治体、生産者と取り組みに向けた協議を進めておりますが、持続可能な土作りを基点とした農業が日本各地で拡がることを目指す仲間を更に増やしていきたいと考えております。

最後になりますが、千年農業に懸けるちとせグループの想いや取り組みの詳細については下記WEBサイトをチェックいただき、取り組みに共感いただける方は是非ともお気軽にご連絡いただければと思います。
千年農業WEBサイト

 

 

● [東南アジアの現場から]マレーシア クチン編 最終章

ちとせグループは、今や2割のメンバーが東南アジア(シンガポール、マレーシア、ブルネイ)に在籍しています。そして、いわゆる「大規模な現場」のメインはそれら東南アジアにて展開しているのが現状。つまり、現場感は東南アジアからしか伝えられない!私が毎回取材しに行くわけにもいかないし、何より現地に入り込んで日々奮闘しているメンバーに書いてもらったほうがリアルが伝わるはずと考え、昨年より「東南アジアの現場から」シリーズをスタートさせました。

第二弾は、マレーシアのクチン編。クチンは、ボルネオ島(カリマンタン島とどちらの名前に馴染みがあるのでしょうか)の北西部に位置し、マレーシアの中でも独自の文化が色濃く残り、1つの国に近い形態をとるサラワク州の州都です。ここクチンにて、熱帯環境下における世界最大級の藻類培養設備を建設し、藻類産業を興すプロジェクトが動いています。2年半にわたりクチンにどっぷり入り込みプロジェクトを動かしてきた遠藤が、全5回にわたりクチンからお届けします!

 

第一章:藻類産業の実現可能性を求めて、クチンに降り立つ
第二章:藻ガールの本領発揮! ‐藻類の採集・単離・ライブラリーの構築‐
第三章:屋外大規模培養を見据えた、小規模屋外培養試験の実施
第四章:開所式典を迎えるまでに
最終章:様々な活動とオフの時間 ←今回はココ

 

最終章:様々な活動とオフの時間

此れまで培養プラントでの活動を中心に語ってきたので、最後に事業開発での取り組みや、オフ時間の過ごし方について記そうと思う。

SBCでは、希望があれば培養プラントの見学を受け入れており、此れまでにも数多くの見学者にお越しいただいた。その中にはイギリスのウェールズ公チャールズ皇太子も含まれる。三菱商事株式会社からは「現場感を直接体験して貰いたい」との要望でインターンの学生さんの受け入れも行った。

“百聞は一見にしかず” という言葉通りに、見学された方々が一様に目を丸くする反応は、見ていて面白い。見学時は一般的な話から、時には玄人向けの話題まで様々な会話が飛び出すため、双方にとても有意義な時間となった。




また、現場が運用費の削減や、大規模培養での安定培養や藻類生産性に奮闘する一方で、事業サイドでは生産された藻類バイオマスの販路開拓に奮闘していた。水産養殖における微細藻類の用途には、主に「水質浄化」「単一飼料」「栄養強化」「色揚げ」「飼料への混合」の5つが知られている。此れらの中でも特に「餌料」と「水質浄化」の用途で藻類が用いられる場合、市場に流通する藻類商品の単価が高く、また、乾燥や抽出などの下流工程を必要としない場合が多い。それ故、藻類生産と用途開発の初期段階として取り組むのに、もっとも魅力的な用途と言える。

これまでに、マレーシア,タイ,ベトナムにある水産・畜産企業事業者や、マレーシア連邦水産庁への訪問等を通じて、市場調査、共同研究の検討が進められており、その内の2社:エビ養殖の企業(Sea Horse Corp.),ハタ・シーバスの養殖企業(Rambungan Marine Aquaculture)と、既に共同開発試験が開始されている。藻類種の商業化利用実現に向けて、マーケティング,研究開発,用途開発の各種が進められている。


(左)時には現場人員を交えて共同開発のパートナー候補と面談。(右)Rambungan社の養殖場は水上コテージにあるので、ボートに乗船して向かう。ちょっとしたアトラクション気分を味わえる。



Sea Horse社所有のエビ養殖池であり、最も小さい養殖池で5000-m2の面積。SBCのプラントで生産した藻類をエビ養殖池へと加え、エビの成長性などへの効果を調べた。この規模で試験が実施できる機会やパートナーと巡り会えたのは、大きな財産となった。




オフ時間の過ごし方と言えば、「遠藤、明日の休日は何しているの?」と問われ、「昼まで寝ている」と返答した私を、片道1時間のルンドゥーと呼ばれる郊外まで連れ出したのは、SBCの研究開発の責任者であるノリハであった。「綺麗な海があってね。気分転換になるわよ」などと会話を交わすも、実は彼女の講演で下準備に人手が足りず、手を借りたかったようである。後日にお礼として夕食に、地元で有名なスチーム・ポッドをご馳走になった。

またSBCでは定期的にイベントを開催しており、カヌーでの川下り競争やハイキングなどのレクリエーションも行っている。事業サイド所属の星野やしゃんてぃんは、ハイキング・イベントに参加し、良い汗を流したようである。「試験が成功してひと段落!」といった時には、SBC研究員のみんなで、シーフードが安くて美味しい、地元でも知る人ぞ知る名店に足を運ぶこともあった。エビや魚介をお腹いっぱい食べるなら海外に限ると心底思ったものだ。美味しいご飯を食べながら、くだらない話やみんなの生い立ち、文化の違いについて、楽しく語らう一時を過ごした。

土日の多くはホセ,松崎,遠藤の3人で、自身が日本から持参したPS4でゲームを楽しむ事もあれば、3人で夕食に出掛ける事もある。遠藤と松崎にとって、ホセは良き英語の先生だ。ホセの藻類研究室を渡り歩いた昔話に耳を傾けたり、アニメ:ナルトの技名について、日本語のニュアンスと英語に置き換えた時の違いを真剣に語らったりする。英語で表現できない日本語独特な言い回しや文化を如何にして説明するかは、とても難しい問題だ。

松崎に触発されてHills Shopping Mallにある Altidude Climbing Companyでボルタリングを趣味として始めた。子供たちの健康を願って開設した家族経営のジムであり、ジムのオーナーであるマルコムは日本のボルタリングジムや有名選手:平山ユージ選手とも交流がある。「板橋のジムでね…」といった日本の話を、マレーの人から教わる事になるとは思いもしなかった。またジムを通じてフランス人の漫画家やマレー人の弁護士、さらには華僑の不動産社長など、色々な人と交流もしている。




クチン空港に降り立った当初の自分には、今の姿は微塵も想像できなかった。気が付けば、クチンに滞在して早くも3年の月日が流れていたのであった。事業を起こすのは人であり、人と人の繋がりでしか仕事は生まれない。弊社CEO藤田の言葉である。日々奮闘する業務は言わずとも重要であるが、長きに渡り築いた信頼や実績,他文化への理解といった基盤は、他者が容易に真似できるものでは無い。藻類種を用いた新たな産業をマレーシアから創出・発信すべく、皆で同じビジョンを共有し、日々の活動に打ち込む毎日を過ごしている。

おわりに、長きに渡る連載をお読みいただいた読者の方々に心よりお礼を申し上げます。機会があれば、是非、我々を尋ねていただきたいです。人との出会いに感謝の心を込めて。

遠藤 政城

しばらくHOTTOPICSをお休みしていた期間があったため、遠藤に執筆してもらってから早1年以上の時が過ぎておりました・・・。それゆえ、現在の状況と少し乖離がある部分もございますが多めに見ていただけますと幸いです。

現在遠藤とホセは、先日採択されたNEDOの5haの長期大規模培養実証(※)に向けて大忙しの日々を送っています。松崎は昨年末帰国後、日本で事業開発側の仕事に奮闘しています。

[プレスリリース]バイオジェット燃料の普及に向けた 5ha規模の藻類培養設備の構築および長期大規模培養の実証をマレーシアで開始 〜NEDOの委託事業に採択〜

現在、これまでの実績をベースに藻類を基盤とした産業構造を構築すべく巨大プロジェクトを立ち上げようとしている我々の動向に、今後もぜひご注目くださいね!

 

 

● 生産性世界一!ちとせオリジナルの抗体医薬品生産細胞に関する講演を開催

Merck社が主催した、最先端の医薬品製造技術に関するウェビナー「Process Solutions Virtual Trade Show 2020」にて、ちとせ研究所 CTO堀内貴之およびバイオエンジニア名須川将史が講演を行い、当日は多くの皆さまにご視聴いただきました。

堀内率いるバイオロジクス事業では、バイオ医薬品生産の低コスト化を実現させるため、新しいCHO細胞(CHO-MK細胞)を生み出し、活用しながら事業をつくり、社会実装を進めています。今回、そのCHO-MK細胞について講演を行いました。

<講演情報>
Process Solutions Virtual Trade Show 2020
日時:2020年11月13日(金)
会場:オンライン(ウェビナー)
題目:抗体医薬: CHO-MK細胞を活用した細胞株構築プラットフォームのご紹介

当日講演を行った堀内(右)と名須川(左)

◯岡村緑(Communication Design Div.)

皆さん、こんにちは!ちとせのメンバーの社外活動を陰から常にチェックしている岡村です。
オフラインだとなかなか参加できない(ほぼ物理的な理由ですが。。)セミナーも、今回はウェビナーだから参加できる!ということで、講演者の2人にどんな話をするのか事前に探りを入れつつ楽しみにしていました。

当日は、まず堀内からCHO-MK細胞を使用した組み換えタンパク医薬の発現細胞株構築(Cell Line Development)に関する受託開発サービスを中心に、CHO-MK細胞最大の特徴である「生産性と増殖性の優れた細胞株が構築できる(なんと7日間の培養で7g/Lという高い生産性!)」についての紹介や、CHO-MK細胞を用いた細胞株の構築がどのように行われるのかについてそれぞれの段階の要素技術などを含めたCell Line Developmentプラットフォーム全体の説明があり、そのあと名須川からMerck社の培地とCHO-MK細胞を組み合わせることで実現できる細胞のパフォーマンスについて実験データを用いて説明をするという流れでした。

ちとせではたくさんのプロジェクト(事業)が同時進行していて、それぞれのプロジェクトの進捗状況報告会を月に数回開催しています。これまでバイオロジクスのプロジェクトについても話は聞いていましたが、2019年4月に開始したCHO-MK細胞を用いた細胞株構築受託サービスに関して医薬品・試薬・体外診断薬ですでに20プロジェクト以上の実績があることや、CHO-MK細胞の詳細な実験データなど今回の講演で初めて見聞きする内容もあり、かじりつくように視聴していました。だんだんと画面に近づく顔、、、家で視聴していて良かったです。

質疑応答も活発で、受託サービスについての具体的な質問をたくさんいただいていました。興味をもってもらえていることを実感しつつ、この高いポテンシャルを持ったCHO-MK細胞をもっともっと多くの方々に知っていただきたい、使っていただきたいと心から思いました。

ということで、最後は宣伝になっちゃいますが・・・
ちとせが開発した新しいCHO-MK細胞は、高い抗体生産性はもちろん、そこから精製した抗体の品質も高く、ウイルスの安全性テストもクリアした本当に素晴らしい細胞です。
CHO-MK細胞に少しでも興味をお持ちいただけた皆さまからのご連絡をお待ちしています!

 

 

● 古澤コラム:学術会議の在り方

日本学術会議の任命拒否事件以降、NEWSで「日本学術会議」のワードを聞くことが多くなりました。
しかし、その存在意義や発足の経緯などご存じない方が多いのではないでしょうか?
かくいう私もその一人で、古澤満先生が執筆した以下の記事を読むまで知らなかったし、考えたことすらありませんでした。

ぜひ、ご一読いただければと思います。
https://journal.chitose-bio.com/furusawa_column46/

日本学術会議の在り方[第46回 古澤満コラム]

 

 

● 新しいメンバーを紹介します

新しいメンバーを紹介します!

A.Y. (Tech & Biz Development Div.)
前職では微生物を利用した創薬研究開発を主に行っており、業務の中で学会等に参加した際にちとせの講演を聞き興味を持ちました。そこから発表内容、HP、インタビュー記事などを通して詳しく調べ、生命現象全ての解明は困難という事実を受け入れた上で、生き物の力を尊重し活用するちとせの姿勢に、自身がこれまで感じていた生き物を利用したビジネスの“違和感”の答えを見つけた気がしました。

学生時代、微生物と植物、昆虫との共生や相互作用の研究をしていた背景もあり「生態系」を意識した課題解決に興味を持っていました。アカデミアでは成しえなかった研究成果をビジネスに繋げたいという思いから、ちとせは私の考え方ややりたいこと、そして会社とともに自身が成長していく場としてぴったりだと思い入社を決めました。

現在は動物細胞を取り扱うこれまでとは少し異なるフィールドへの挑戦の最中で、新しいことを知る毎日が楽しく、日々新鮮な気持ちで業務に取り組んでいます。コロナ禍という特殊な状況での入社でしたが、自身の取り組みが仕事として実を結ぶのを目指して精進したいです。

 

 

編集後記

先日入社したてのメンバーと話す機会があり、入社当初の気持ちを思い出すとともに、
その後の自分の変化を振り返るいい機会になりました。

早く役に立ちたいという焦りの気持ち、
思うように仕事ができずもどかしい気持ち、
やったことないことへの緊張や不安な気持ち、
がむしゃらに取り組むことでひとつひとつクリアしていく日々を経て、
気づいたらすっかり景色が変わっていました。

2013年に入社してもうすぐ丸8年。
仕事の幅は自分次第で無限なこと、
やったことないことに取り組むのが常なのでほとんどのことにびびらなくなったこと、
やればできる自分に気づいたことは大きな変化でした。

来月の自分、来年の自分、10年後の自分、
今でも正直全然想像がつきません。
目標とか、人生プランとか、ちゃんと考えなきゃ!と思っていた時期は、
ただ焦っているだけの時期だったように今では感じています。

全ては今の延長上。
選択を繰り返し、努力を続けた先に何があるのか。
今を楽しみながら前に進むのみだなと、最近はすっかりそんな考え方になりました。

学部4年生の頃に所属していた研究室の教授に、
「出口さんはどんな大人になるのか、とても楽しみだ」と言われたことがあります。
期待されることは私にとってとても嬉しいこと。

先生、わたしすっかり大人になった今でも、自分がこれからどうなるのか楽しみだよー!