あけましておめでとうございます。ちとせの出口です。

数ヶ月前からラジオにはまった私が最近感じているのは、取得する情報はきちんと選ぶべきだということ。そんな、「選ぶ」という話を編集後記でしたいと思います。

それでは、2020年最初のHOTTOPICSを始めます!

 

 

● 藤田脳:もっとOPEN!

ちとせグループ代表 藤田
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

2019年は、「OPEN!」とキャッチフレーズを掲げてみました。掲げてはみたものの、具体的に何をどうして良いかわからず、とりあえず自分のすべての判断において「OPEN!」を意識してみたところ、良いことがたくさんあったように思います。

OPEN!活動の一例としては、昨夏に、我々のマレーシアでの活動を多くの方にも体験して頂こうと「ちとせの活動を体験するツアー(※)」を組みました。とても多くの方に参加していただき、当初の想定以上に大変好評な企画になりました。他にも、思いつく限り、一つ一つの判断において「OPEN!」を意識してみたのですが、ちとせグループは、もっともっと「OPEN!」できるし、するべきだと感じました。
※ツアーの様子はこちらの記事を御覧ください

ですので、2020年は「もっとOPEN!」を掲げて行きたいと思います。

2019年だけでは、会社の全ての活動を「OPEN!」するところまで至らず、自分の活動だけ「OPEN!」していたことも多く、それが理由で、どうも自分だけが忙しくなってしまったことが多かったように感じているので、2020年はグループ企業の隅々まで、まるごと「もっとOPEN!」していきたいと考えています。

私が、一度決めたことはついつい過剰なくらいやり過ぎてしまうタイプの性格なので、社内外の皆様からは「こいつは会社を壊す気なのか?」と思われてしまうようなことも多いような気がします。

しかし、「OPEN!」したくらいで、社会の荒波・暴風によって壊れてしまうような部分は、元々とっとと壊すべき部分だったのだと思いますので、本年は遠慮なく、「もっとOPEN!」を進めていきたいと思っています。

ちとせグループ代表 藤田

 

 

● [東南アジアの現場から]マレーシア クチン編 第二章

ちとせグループは、今や2割のメンバーが東南アジア(シンガポール、マレーシア、ブルネイ)に在籍しています。そして、いわゆる「大規模な現場」のメインはそれら東南アジアにて展開しているのが現状。つまり、現場感は東南アジアからしか伝えられない!私が毎回取材しに行くわけにもいかないし、何より現地に入り込んで日々奮闘しているメンバーに書いてもらったほうがリアルが伝わるはずと考え、「東南アジアの現場から」シリーズを今年の5月よりスタートさせました。

第二弾は、マレーシアのクチン編。クチンは、ボルネオ島(カリマンタン島とどちらの名前に馴染みがあるのでしょうか)の北西部に位置し、マレーシアの中でも独自の文化が色濃く残り、1つの国に近い形態をとるサラワク州の州都です。ここクチンにて、熱帯環境下における世界最大級の藻類培養設備を建設し、藻類産業を興すプロジェクトが動いています。2年半にわたりクチンにどっぷり入り込みプロジェクトを動かしてきた遠藤が、全5回にわたりクチンからお届けします!

 

第一章:藻類産業の実現可能性を求めて、クチンに降り立つ
第二章:藻ガールの本領発揮! ‐藻類の採集・単離・ライブラリーの構築‐ ←今回はココ
第三章:屋外大規模培養を見据えた、小規模屋外培養試験の実施(2月予定)
第四章:開所式典を迎えるまでに(3月予定)
最終章:様々な活動とオフの時間(4月予定)

 

第二章:藻ガールの本領発揮! ‐藻類の採集・単離・ライブラリーの構築‐

私が、マレーシアの研究機関であるサラワク州立生物多様性センター*(Sarawak Biodiversity Centre, SBC)のプロジェクトに参加したのは2017年5月からであるが、本プロジェクトの開始は2012年まで遡る。

SBCは、近年の様々な環境問題を機に、生物多様性が豊かな熱帯雨林を有すマレーシア・サラワク州(ボルネオ島)の特徴を活かして産業利用が可能な藻類を収集し、そこから新規産業に繋げようと、2012年10月より三菱商事と共に模索していた。そして、2013年からは我々ちとせ研究所が、現場におけるプロジェクト運営やSBC研究員への技術指導を行う本プロジェクトにおける三菱商事の技術アドバイザーとして参加することとなった。

サラワク州内における藻類の採集・単離・ライブラリー化に力を注ぐにあたり、最初に駐在員として抜擢されたのは、藻ディアの著者でおなじみの、“藻ガール” こと尾張智美であった。彼女の藻類に対する知識と愛情が認められてのことであった。余談であるが、その後に彼女は1年近くクチンに駐在することになるのだが、駐在を開始したのは結婚してからたった1週間後のことであった。彼女の藻に対する愛情は、旦那様への愛に勝ってしまったのかもしれない…!?





産業利用が期待される有用形質を有する藻類の収集、と文字で記すのは簡単であるが、その活動は非常に多岐に及んだ。例えば、採取地だけでも湖,海,川,マングローブ林,自然の池や人工池,滝、そして洞窟など複数の場所におよび、加えて淡水・海水藻類のみならず、気性藻や土着藻に至るまでありとあらゆる藻類が採集対象とされた。また、採集する際には代表的なプランクトンネット以外の道具も用いつつ、水面表層から深層水まで幅広く採水したり、湿った土壌を採取したり、岩肌を擦って採取するなど、様々な工夫が施された。こうして集められた膨大な数のサンプルは、液体培地や寒天培地での準備培養の後に単離され、藻類株として樹立された。サラワク州の様々な環境に赴いてサンプリングを行う事もあれば、レアな藻類種を取得するため地道なサンプリング、観察を繰り返すことも欠かさなかった。

藻類の採集から単離までに至る此れらの工程は、藻類の特性を知り尽くしている尾張の知識が最大限に発揮される機会となった。その結果、10綱58属587株の藻類株がライブラリー化され、その中から将来の商業化が期待される複数の藻類種が見出された。





尾張の2年に及ぶ活躍によって、無事に “産業利用が期待される有用形質を有する藻類種の収集” に成功した我々は、藻類産業の実現を目指して、次の段階である「獲得された藻類種を用いた屋外での小規模培養試験」へと歩みを進める。

ここで、駐在員は尾張からホセ(Jose Romel F. MALAPASCUA)へと交替する。ホセはイスラエル、米国アリゾナ州、チェコ共和国、台湾と、世界の名だたる藻類研究室を渡り歩いてきた培養のエキスパートであり、藻類の専門知識は言うまでも無く、藻類屋外培養設備に関する工学的知識を有している。ホセによる現場指揮のもと、屋外培養の実証試験が開始されたのであった。

SBC&三菱商事のメンバーと(2016年4月)
(左の矢印より順に、中原,ホセ,尾張,星野, しゃんてぃん)



To be continued…



*筆者:遠藤 政城 (Tech & Biz Development Div. Experienced BioEngineer)
ちとせに入社してから、主に藻類の屋外大規模培養を担当。此れまでに横浜,鹿児島,タイにて屋外培養を成功させた経験を有す。藻類の専門家として見られがちだが、実は繊毛虫:テトラヒメナなどの原生動物が専門。

 

 

● カンボジア国際シンポジウムに招待いただきました

12月12日と13日にカンボジアで開催された公益財団法人本田財団と王立プノンペン大学主催のシンポジウムに、ちとせグループ代表の藤田とメンバーの片岡と伊香の3人が参加しました。当日の様子を、隙あらば国外逃亡を試みる伊香よりお届けしたいと思います。

今回の執筆者の伊香
◯伊香 亮(Tech & Biz Development Div. Manager):

こんにちは!ちとせでは珍しい非バイオ系出身、伊香です。
今回は、ちとせグループ代表の藤田と私、それから普段はマレーシアにいるメンバーの片岡が登壇したのですが、このご縁は、もともと藤田が本田財団の業務執行理事でもある株式会社ケイエスピー(※)の内田社長よりお声がけいただいたことがきっかけでした。
※ちとせグループのグループ企業がいくつか入居している「かながわサイエンスパーク(KSP)」の中心母体であり、ベンチャー企業を支援するインキュベータ。

シンポジウムのテーマは「Conversion to achieve Eco-Society through the Industry of Phnom Penh」というもので、そこからさらに「スマートシティ」と「人材開発」に焦点をあてたセッションが設けられていました。藤田は「人材開発」のセッションへの登壇、私と片岡はその翌日に「自分のキャリア変遷とそれに至るまでに考えたこと+伝えたいこと」という内容について話しました。





藤田は、相手がテクノロジー系の学生だったこともあり「社会課題から逆算して初めてビジネスに必要なテクノロジーが明らかになる事(テクノロジーが出発点ではない事)」、「我々がカンボジアの人々と一緒にできる事・できない事」をざっくばらんに話し、学生に奮起を促していました。バイオテクノロジー系の会社経営者の話を実際に聞く機会が少ない学生にとって藤田の話は新鮮だったようで、発表後に何人もの学生が我々ちとせのメンバーに話しかけに来てきくれました。それに応えながら、藤田の発表が十分なインパクトを残したことを実感しました。(藤田はその後のパネルディスカッションでも、学生からの「起業するにはどうしたらいいですか」という質問に、「起業するなんて全然お勧めしないよ」という全く期待されていない回答でインパクトを残し続けていました。)

翌日、私と片岡のセッションにどれくらいの学生が来てくれるか不安ではあったのですが、前日の藤田のインパクトもあってか150名近くの人が来場してくれて、会場がほぼ埋まるくらいの大盛況となりました。





私は、「工学部出身ながらエンジニアにはならずに、商社での国際協力+発電所建設の経験しかない非バイオ系出身の私が、バイオ系のちとせでどうやってビジネスを作り続けているのか。」という事を、
・自分がやりたいことにあった環境を選ぶ事
・自分に足りないことを知る事
・オープンマインドであり続ける事
という視点で話しました。





片岡は、「アカデミアは真実を追求するもので、ビジネスは正義を追求するもの。」「正義は人の数だけ存在するので、人の正義を実現する能力が求められる。」「そうやって人を喜ばせたい人は是非ビジネスの世界へ。」という事を語りかけていました。





ご出席された先生方に「本田財団のシンポジウムに民間企業を呼ぶという試みは今までなかったけど、ちとせさんを呼んでよかった」「学生が一番聞きたいようなことを話してくれた」と言っていただき、ひとまず役目を全うできたことに胸をなでおろしました。ちなみに、私は自分がOpen Mindであることを証明するために発表の最後にFacebookとWhatsappのアカウントを公開したのですが、早速何人もの学生からFacebookに友達申請がありました。更にその夜には、学生の一人が我々の写真付きで「I want to become like them!!」というメッセージを投稿してくれたのを見て、「あぁ、本当にインパクトを残すことができたのだな」と上機嫌で帰国の途に就きました。

ちとせグループに参画して1年半経ちますが、今回、自分の講演資料をまとめていく過程で、自分が今まで何を考えて30数年間生きてきたのか、なぜ、ちとせグループを選んだのかという事を改めて整理し、初心を思い出す事ができました。

登壇の機会を作ってくださった本田財団関係者の皆様、シンポジウムへの参加のきっかけをくださった株式会社ケイエスピーの内田社長をはじめとする皆様、私たちの講演を聞いてくれたY-E-Sの受賞者、および王立プノンペン大学の学生達には、本当に心から感謝申し上げます。

視察中の3人@アンコールワット

 

 

● 日本バイオデータ代表の緒方が、紺綬褒章を受章

株式会社日本バイオデータ(ちとせグループ)代表の緒方法親が、東京農工大学への支援活動を通して、令和元年9月28日に日本国政府より紺綬褒章を受章しました!



令和元年12月12日に東京農工大学にて褒状伝達式が行われ、大野弘幸学長から褒章および褒状が伝達されました。

詳しくは東京農工大より出ているこちらのNEWSを御覧ください。
本学同窓生の緒方法親氏に紺綬褒章が授与されました

 

 

● 編集後記

過ごす環境、
身につけるモノ、
取得する情報、
付き合う人、、、、

自分の幸せのために、ちゃんと選んでいかなければいけないなと年々より強く思うようになっています。

自分は何に心地よさを感じるのか?をちゃんと知って、
心地よいものに囲まれた生活をするための努力は惜しまないようにしたいなあと思うのです。(ちなみにモノに限った話をすると、最近買って生活の満足度が上がったのは、「ハグみじゅうたん」「宮田織物の半纏」「ダイソンのドライヤー」の3つです!)

限られた時間や心を何に対して割くべきかは状況に応じて変わっていくものだからこそ、
時々立ち止まってじっくり考える時間を取り、適切に選びながら2020年を過ごそうと思います。

今年は大吉だったからいい1年になるに違いない!
ということで(?)、皆様今年もお付き合いのほどどうぞよろしくおねがいします。