こんにちは。ちとせの出口です。

忙しいと色々疎かになってしまうものですが、そんな時ほど美味しいものを食べて心を整えることって大事だなと感じた先月。時間ないし書けないよーと思いながらも、紹介したい話が多すぎて6つもトピックを紹介してしまった今月号。

食べたいものがたくさんあること、
書きたいことがたくさんあること、
どっちも幸せなだなーと思いつつ、今月号を始めます。


 

● 三井化学と取り組んでいる新たなオープンイノベーションの取り組み『0to1プロジェクト』の記者発表を行いました

10月29日(月)、三井化学とちとせグループ共同で記者会見を行いました。

三井化学 福田常務執行役員(中央左)、ちとせグループ代表藤田(中央右) 新会社 ティエラポニカ社長の有富(左)と植物ルネサンス社長の秀崎(右)

▷リリースはこちら
『三井化学とちとせグループ 「事業と人」を同時に育成する新しいオープンイノベーションの取り組みを開始 -互いの技術シーズを持ち寄り共同で事業化-』

今年の4月頭から毎日ちとせのオフィスに出社し、すっかり馴染んでいる三井化学の社員が2人います。

左:居室で議論中の有富氏(右)、右:会社設立で祝われている秀崎氏(左)

年に一度の集合写真にもばっちり写り、すっかりちとせの一員と化した2人が主役の本プロジェクトの名は『0to1プロジェクト』。ゼロ(技術シーズ)からイチ(事業)を産み出すスキルとノウハウを、事業とそれをリードする社長の育成を通じて大企業へ(つまり今回の場合は、三井化学の2人。有富氏と秀崎氏へ)共有する取り組みです。2021年までの3年を区切りとして今年の4月よりスタートしました。
※なんの捻りもない名前をつけたのは私です。

『0to1プロジェクト』の一環として、ちとせグループに「株式会社植物ルネサンス」と「株式会社ティエラポニカ」の2社を設立。各社の代表として三井化学から秀崎氏と有富氏を受け入れました。ちなみに、設立の手続きや社名やロゴを決めるところから全て2人が実施しています。

 

事業が生まれ育っていく過程にはフェーズがあり、それぞれのフェーズで重視すべきポイントは変わっていきます。しかし、現在の日本社会においてゼロからイチを産み出す場に立ち会った経験がある人材は少なく、この経験の場を共有し展開することが現在の日本や産業の活性化のために重要なことだと藤田は考え、この『0to1プロジェクト』を発案しました。

 

ゼロから事業を産むためには、プロジェクトチームに対して以下の3つを意識させ、徹底させることが要点になります。

しかしながら一般的な「十を拡大するために設計された組織」の中で、プロジェクトを進めようとすると、この3つを徹底することが難しくなるため、プロジェクトチームを隔離して守ることが必要になります。

 

今回の取り組みは、ある意味「オープンイノベーション」とも言える取り組みだと思います。手段であるはずの「オープンイノベーション」が時に目的と化していたり、はたまた言葉ばかりが先行している場面を見かけることがありますが、今回の『0to1プロジェクト』が、いわゆる「オープンイノベーション」の社会に対する新たな提案になればいいなと思っています。

私個人としては、今後2社の事業がどのように展開されていくのか、ちとせのメンバーと共に切磋琢磨しながら2人がどのように変わっていくのか、楽しみで仕方ありません。

▷本発表に関するメディア掲載情報はこちら

 

 

● バイオジャパンに参加しました

10/10-12の3日間、パシフィコ横浜で開催されたBioJapan。この記事をお読みの方の中にも、会場に足を運ばれた方が多いのではないでしょうか。

ちとせからは、INCJMAB(次世代医薬品製造技術研究組合)のブースにて参加させていただきました。

左:タベルモ代表の佐々木@INCJブース、右:MABのブースにて。左から松島(細胞生産チーム 事業開発マネジャー)、堀内(細胞生産チームのドン)、大澤(細胞生産チーム 研究開発統括マネジャー)

ここで、せっかくなのでMABのブースに立っていた大澤より一言。

○大澤 登(細胞チーム 研究開発統括):
「MABは国産のバイオ医薬品製造プラットフォームを作るべく、多くの企業や大学の研究室が集まって2013年より活動している団体です。我々はちとせ研究所としてMABに参画し、ホストセルの育種やCell Line Developmentの部分で貢献させていただいております。
今回のバイオジャパンでも多くの方に足を運んでいただきMABの活動についてご紹介させていただきました。製薬企業のみならず様々な企業や大学関係者の方に興味を持っていただいてることを大変うれしく思います。」

私は最終日の午後に顔を出したのですが、大学院の恩師や、今は別の会社で活躍している研究員など懐かしい人に会うことができ、さらにiParkのブースで配られていたビールを2杯もいただいてほろ酔いの幸せな気持ちで帰路につきました。

 

 

● 藻類セミナーを開催しました

先日、Chief Photosynthesis Officerの中原と藻類活用本部長の星野が藻類ビジネスセミナーで講師を担当しました。
セミナー題目:『藻類を利用した事業構築と研究開発・大量培養技術

本セミナーに、現在藻ディアで編集を担当している岡村が参加したので彼女から当日のレポートをお届けします!

○岡村 緑(グループコミュニケーションチーム):
皆さま、初めまして。コミュニケーションチームの岡村です。私はもともと藻類とは無縁の世界にいたので、ちとせが取り組む藻類ビジネスを発信していくためにはまず「藻」について理解せねばと思い、今回勉強のためにセミナーに参加してきました。

セミナーでは、なぜ今藻類に着目すべきなのかというところから始まり、実際に藻類を商業化している例の紹介、そのために行われている研究開発、そして商業化のために必要な大量培養(スケールアップ)方法についてと、一連の流れで話を進めていきました。参加者の皆様は、既に藻類ビジネスに参入されている方やこれから新規事業の立ち上げを考えている方まで様々でした。

質疑応答では非常に多くのご質問をいただきましたが、その殆どが商業化する際のコスト面に関するものでした。その他には培養についてもいくつか、例えば培養中のリスク(妨害や形質転換など)についての質問などが上がるも、地域による培養コストの差や、オープンポンドとPBRの経済性の差など、やはりコスト面に関する質問に集中していました。ビジネスへの参入を考えた時に一番気になるところですからね。

ひとつの質問をどんどん掘り下げたり、そこから派生した内容で議論しているところを見ていて、多くの方が藻類の新規事業を見据えて参加してくださっていることに嬉しくなりました。今回のセミナーから、藻類産業を一緒に作っていく仲間が生まれることを願っています。

と、ついでにここでちょっと宣伝させていただいちゃいます。私が編集に携わっている「藻ディア」では、藻に関するホットな情報をお送りしています。国内外のグラント情報などの真面目な話から雑学まで、ちとせの藻類チームの藻のエキスパート達が色々な話題を提供しています。ぜひ覗いていただけると嬉しいです。毎月メルマガも配信しているのでこちらも是非。

 

 

 

● アフリカから研究者の方々が企業訪問にきました

一度もその地を踏んだことがなく、私にとっては未知なアフリカ。しかし、ちとせにはめちゃくちゃアフリカに馴染みがあるメンバーが2人もいました。
2人とも青年海外協力隊なのですが、1人はセネガルで2年間女性グループ支援をしていた木下。もう1人は南アフリカで2年間算数の先生をしていた片岡。南アフリカ以外のアフリカの地のことも知りたくなった片岡はその後、自転車でアフリカ大陸をうろうろ見て回ったそう。「片岡さんアフリカ一周したんですよね」と私が聞くと、「アフリカ “一周” なんてすんごいものではなく、単に “縦断” です。」と返されました。

セネガルで女性グループ支援をしていた木下(左)と南アフリカで算数の先生をしていた片岡(右)

片岡は、ちとせに入ってからはマレーシアのボルネオ島の山奥で2年、その後キャメロンハイランドを拠点に東南アジアの農業プロジェクトを担当しています。木下は、以下の記事で紹介している通り、キャメロンハイランドで美味しいいちごを作っています。
マレーシア産 “日本品質いちご” をきっかけに、アジア農業の未来をつくる

非常に逞しく東南アジアの現場でバリバリ活躍している2人。
ちとせのメンバーは約100人、そのうち2人もアフリカ生活の経験があるメンバーがいるなんてちょっとすごいなと思ったのでついつい長めに紹介しちゃいましたが、本題に入ります。

先日アフリカからたくさんのお客様が来てくれました。
ここで、本件をメインで担当した伊香にバトンタッチしたいと思います!

◯伊香 亮(事業開発部 リサーチャー):
みなさん、こんにちは。
バトンを受け取りました伊香です。つまずくことなくバトンを次につなげられればと思いますので、温かい目で見守っていただけますと幸いです。

さて今回、世界銀行のアレンジによるプログラム(※)の一環で、ガーナ、ナイジェリア、タンザニア、コートジボワール、ザンビアからアフリカの高等研究機関のセンター長や大学教授11名にご訪問いただきました。(実は先日アフリカ旅行に行ったため本件と旅行との関係性を疑われるのですが、そのこととは全く関係なく、世界銀行側でアレンジされている方が私の知人であるということからこの話が始まっています。)

※世界銀行が投資・支援するACEとPASETというプログラム。アフリカの選別された大学に、アフリカがプライオリティを置く産業・セクターの研究機関を作り、世界銀行とアフリカ政府が投資・支援し、教育や研究の質を向上させるというもの。両プログラムでは海外とのパートナーシップに重きをおいており、海外の大学・企業とアフリカの高等研究機関・大学の共同研究、共同事業開発や研究者受け入れを支援している。

このプログラムは、アフリカに理系研究者を増やし、研究の質を向上させることを目標にしています。アフリカの特にサブサハラ地域では人口100万人中92人しか理系の研究者がおらず、世界平均の100万人中1,083人を大きく下回っているのだそう。

今回の彼らの日本訪問は、今後このプログラムを推進するにあたり、日本の大学や企業を訪問して実際にどのようなパートナーシップが可能なのかを議論するためのものでした。

ちとせには農業関係や免疫学・健康関係等を専門とする方々が訪れ、ご訪問当日は、私も(なんとか)英語でプレゼンを行い、ちとせのビジョンとちとせの事業を知ってもらったうえで、センター長や研究者の皆様の質問に答えるという形式で行われました。研究開発の機能を備えるちとせがどのように事業を開発しているのかに非常に興味を持っていただき、将来の協業を考えたいというコメントを頂き、この訪問を有意義にする事ができたと思っています。

将来、アフリカLoverが多いちとせにとって未開の地であるアフリカ進出に何らかのきっかけにできれば、うれしいことこの上ないなぁと思ったところで、バトンを出口に戻したいと思います。

 

 

 

● 新しいメンバーを紹介します

10月は3名も仲間が増えました!

◯濱井夏子(タベルモ 事業管理部 部長):
理系のバックグラウンドは無い私ですが、高度な自社技術を生かし、食を通じて持続的な社会の基盤づくりに取り組もうとするタベルモのチャレンジに魅力を感じ、ご縁があって入社させていただくことになりました。

 

○庄野暢晃(研究開発部 研究員):
私は生物の持つ力を使って世の中を良くしたいと思い、ちとせ研究所に入社を決めました。
私が思う生物の持つ力とは「現象を物語にする力」です。
太陽の光がアスファルトに当たってもただ熱になるだけですが、植物に当たれば実がなり、それを動物が食べその後も様々な食物連鎖が生まれます。あるいは綺麗な花が咲いて私たちを感動させるかもしれません。私はこの生物の作り出す物語がとても好きです。
様々な生物プロセスを追求し、エンジニアリングすることで、人も地球もハッピーな物語を作りたい、ちとせ研究所はそんなスケールの大きな仕事もできる研究開発意欲溢れる会社だと思います。

 

○西田佳代(研究開発部 細胞生産チーム 研究員):
ちとせの求人をみかけサイトへいった際、「生物」というキーワードが目に飛び込んできました。私が今まで仕事を探す時に唯一こだわっていた事が、実験対象が生き物であるという事でした。仕事の対象が生きている物の方が何かワクワクする物を感じました。そんな私にとって、「生物」の可能性を追求しているちとせ研究所は、まさにワクワクできる会社なのではないかと思い入社を決めました。

 

 

● 「最優秀賞」をもらえるビジネスプランの描き方!?

グループ代表藤田のコラム「内側から問い直す日本のベンチャー業界の“常識”」の第二弾、『「最優秀賞」をもらえるビジネスプランの描き方』を公開しました。

▷第一弾はこちらより御覧ください
ベンチャー業界は「死の谷」を言い訳にしていないか?

前回もたくさんの反響をいただきましたが(感想下さった方、ありがとうございました!)、今回の記事は具体的な事例もあって内容が理解しやすいからか、特にNewsPicksで盛り上がりを見せました。
NewsPicksはこちら

あちこち飛び回る藤田は、飛行機での移動時間にコラムを執筆しているそう。
次回もお楽しみに!

 

編集後記

今年入社したメンバーがやたらと私を “広報扱い” するなーなんでだろうと思ったら、Hottopicsで「広報の出口です」と名乗っていたからだと気づき、前号から冒頭で「広報」と名乗るのをやめました。

私にとって「広報」というのは手段の1つでしかないと思っています。なので、記者の方や他社の広報の方に「広報の出口さん」と言われるのはいいけれど、社内でそう言われることには違和感があるのです。

やりたいことも役割も、常に変わりゆくものだと思っているのであくまで現時点での話ですが、今の私の仕事の軸は『ちとせの魅力を伝えること』『情報・デザインという観点から、ちとせのみんなが働きやすい環境をつくること』の大きく2つ。

これを達成するために、時に「広報」、時に「編集長」、時に「WEBディレクター」など、あえて名前をつけるならそういう仕事をしているのですが、どれか1つをとっても自分を表せるものではないんです。けれど、何かしら分類しないと人は人を認識できない。特に初対面の場合はそうですよね。なので私の場合、相手に合わせて自分の分類、いわゆる何のタグをつけて自分を見せるのかを変えています。

3年ほど前、小林賢太郎の舞台を見に行きました。
彼は何者なのか、彼の作る舞台はなんというジャンルなのか、どちらも適切なタグがない。でも彼を彼として、彼の作品を彼の作品として、そのまま受け入れているファンがたくさんいて、それをとてもかっこいいと感じるとともに、おこがましいけれど共感したことを思い出しました。

 

次回のHottopicsは12月上旬を予定しております。
ご意見、ご感想、お問い合わせは「news@chitose-bio.com」まで。