こんにちは。ちとせグループの出口です。

先日、突然近所に彼岸花が出現しました。
ところで『突然』と書きましたが、茎だけの状態の時は目立たないので私が気づかなかっただけであって、彼岸花からすると順調に成長したよってだけの話。全く突然のことじゃないんですよね。

彼岸花を見ていよいよ実感した本格的な秋の訪れ。窓を開けて外の空気をいれると気持ちが良いこの季節を十分満喫しつつ、今月号を始めます。

〈目次〉
● 宇宙開発に携わることになりました!
● 次世代の巨大産業「タンパク質関連Tech」Meetupに参加しました
● 奈良先端科学技術大学院大学にて藤田が講義を担当しました
● 新規開発した抗体医薬品生産細胞の持つ “5g/L/4days” という高いポテンシャルについて学会で発表しました

● 宇宙開発に携わることになりました!

研究提案をJAXAに採択いただき、ちとせも宇宙開発に関わることになりました!!
どうしてこうも、「宇宙」というだけでわくわくするのでしょう。

研究名は『食用藻類スピルリナを用いた省資源かつコンパクトなタンパク質生産システムの開発』。これは、JAXAの「穀物に頼らないコンパクトなタンパク質生産システム」の募集を受けて提案したものです。
http://www.ihub-tansa.jaxa.jp/RFP_announcement4_201809.html

JAXAでは、将来的な月面定住を目指して月面での食糧生産(=月面農場)の検討を開始しています。我々は、タンパク質を月面で地産地消することを目指した研究開発を行います。

▶詳しくは、こちらのプレスリリースを御覧ください
『宇宙の食にも「藻」が貢献! 藻類スピルリナでコンパクトなタンパク質生産システムをつくる -JAXA宇宙探査イノベーションハブの研究提案に採択-』

ここで、本プロジェクトの責任者である星野にバトンタッチします。

星野 孝仁(ちとせ研究所 藻類活用本部 本部長):

様々な打ち合わせや講演会などで、ほぼ必ずと言ってよいほど聞かれる質問があります。
「現在、その実用性が証明されている最も優れた藻類の生産システムはなんですか?」
と、いう質問がそれです。

あまりによく聞かれるので、最近では資料にその質問とそれに対する僕なりの回答を、あらかじめ用意するようになったほどです。回答をここにも記述させてもらうと、月並みではありますが、「そんなものはありません」もしくは「ケースバイケースです」となります。
が、なかなか理解してもらえません。
「それでもあえて挙げるなら?」と。

とんこつラーメンを食べたい時もあれば、塩ラーメンが食べたいこともあるし、たまには味噌ラーメンも悪くない、なんて言ってしまいたいと思う気持ちを抑えつつ、丁寧に説明するよう日々努力しております。

さて、今回のプロジェクトでは、「たまには味噌ラーメン」のケースを端的に示すものになるかと思います。

宇宙空間における食糧生産やCO2吸収・酸素生産を念頭においた時、多少の初期建設コストの増減よりも、如何に省スペースで、如何に水の使用量を減らし、如何に廃棄物を有効に利用し、如何に食料として品質の高いものを生産するか、といった点が最重要課題となります。つまり、一般的に、単位面積あたりの生産性がさほど高くなく、且つ、水を大量に使用する代わりに、建設コストが比較的小さいポンド型の生産システムなどは、このケースでは不適切なものとなります。

目的や状況に合わせて、様々なツールを使い分け、よりおもしろい・たのしい結果を追求していく。もちろんお金も稼げるように。
まさにそんなことを目指す非常にわくわく出来るプロジェクトだなと感じています。

別プロジェクト(※)での星野の一コマ


※以下の記事でご紹介している「サラワク州マイクロアルジェPJ」です
https://journal.chitose-bio.com/algae_expertise-2/

 

毎日見ているあの綺麗な月で生活する日が来るなんて今は全く想像できないですが、数年後には民間人が月周遊旅行に行けるようになり(ZOZOの前澤社長が話題ですね)、そのうち月面に降り立てる日が来て、次に滞在が可能になって・・・と少しづつ定住に向けて進展していくのでしょう。

ところで、星野のせいで味噌ラーメンが食べたくなりました。

 

● 次世代の巨大産業「タンパク質関連Tech」Meetupにて講演しました

先日、タンパク質危機をテーマとしたセミナーが都内で行われました。


昨年は “タンパク質危機” というワードをちとせのメンバー以外から聞くことはほとんどなかったのですが、今年のタベルモ社増資発表以降、このワードが使われだしたことを実感しています。

今回、タベルモがまさに “タンパク質危機” に挑戦しているということで講演依頼をいただき、ちとせ研究所CPOの中原がスタートアップ講演「タンパク質関連テクノロジー最前線」の中の一社として講演しました。

それでは、ここからはタベルモ販売企画の小関がイベントレポートをお届けします!

◯小関 崇(タベルモ 販売企画 マネジャー):

初めまして。タベルモの認知度を高めるべく、外食産業(特に健康や体づくりを意識したレストランやカフェ)を日々開拓している小関です。今回、講演サポートとタベルモの試飲PRの為に中原にイベントに駆り出され..あ、いや、喜んで参加しました。イベントには食品メーカー、飼料会社、金融機関、メディア等の方など合計80名ほどが参加しており、「タンパク質危機」への世の中の関心の高まりを肌で感じることができました。

講演中の中原。他のスタートアップ企業が演台から淡々と説明しているのに対して、中原はスライド前まで身を乗り出して説明中

 

その他、登壇されていたスタートアップ企業は、株式会社ムスカ(イエバエ)、株式会社エリー(蚕)、インテグリカルチャー株式会社 (培養肉)。3社とも代表やスタッフが若く、とても鋭い感性をお持ちの方ばかりでした。

講演後は多くの参加者がタベルモ試飲のためにブースに集まってくださいました。
濃い緑色なのに・・・・味がしない!と、驚く方多数。(「美味しい!」ではなく「・・・ん?・・・おぉ、味がしないですね」がタベルモへの褒め言葉です。)

今回イベントで講演したスタートアップ企業4社の中で、既に商品が市場に出ているのは弊社だけでしたが、今後続々と市場に放たれていくことでしょう。

これらの新食材を世の中に定着させるには、実際に商品が手に取れるような環境づくりが大事だと感じました。私自身、外食産業への導入という仕事を通じて「タンパク質危機」に貢献していきたい所存です。

最後に、講演した中原からも一言

中原 剣(ちとせ研究所 取締役 最高光合成責任者):

今回はピッチと呼ばれる短い時間(15分)でプレゼンする、という形式で『なんか西海岸のITベンチャーっぽい!』とテンション高めで望んだのですが、やってみると難易度が高かったです。他社さんの洗練されたプレゼンを聞きながら、もっともっとプレゼン技術を磨いていかないといかんなーと思いました。昔、エレベーターでジョブスと一緒になった社員が1分で仕事の説明しろって聞かれるも、うまく答えられずに首切られた、という話を聞いたことがあるのですが、私は首が10本あっても足りる気がしません。結局、どれだけ頭が整理されてるか次第ですよね。聞いた人の頭にスッと入って、心に永く残る、そんな表現ができる人になりたいものです。

▷講演の内容はログミーでお読みいただけます
“藻”がタンパク質危機を脱するカギとなる 化石資源から太陽基点の「循環社会」へ

 

昆虫も人工肉も藻も、一般の方からするとまだまだキワモノ。それをいかに「当たり前な存在」にできるかどうかが大切。そのためには、原価を下げることはもちろんですが、美味しく食べてもらえる商品の開発と、手に取りやすい場所で販売されていることが重要です。

タベルモは「味がしない」のでどんな食材にでも馴染みます。これは美味しい商品を作る上で大事な特徴!美味しい藻の商品を増やし、手に取りやすい場所で展開し、『藻を食べる文化』を広げていくことを通じてタンパク質危機に貢献してゆきます!

ところで、ITベンチャーっぽいノリ私はなんだかニガテなのですが、参加した2人から話を聞くととても楽しそうで、たまにはそういう雰囲気も味わってみたいなという気持ちになりました。参加すればよかったー

 

● 奈良先端科学技術大学院大学にて藤田が講義を担当しました

奈良先端科学技術大学院大学の『バイオサイエンスの産業展開Ⅱ』という講義にて、ちとせグループ代表の藤田が『ベンチャー企業におけるバイオサイエンス研究』をテーマに講義を行いました。

大変有り難いことに、毎年高木博史教授にお招きいただき学生に講義をしています。現在タベルモの社長を務める佐々木は元々高木先生の教え子で、学生の頃藤田の講義を聞いたことがちとせ入社のきっかけになったそう。どこで繋がるかわからないものですね。(先日講義を聞いた学生の中にも、将来ちとせで活躍してくれる人がいるかも…!)

今回、せっかくなので高木先生とのツーショットを撮ってきて欲しいとお願いしました。そのお写真がこちら。

背景は山中教授がiPSの研究の構想を初めて語ったのはこの講堂であるということが書いてある銅板パネル。iPSの研究の核となる部分は、山中教授が奈良先端大に居た時代に行ったものなのだそうです。

◯藤田 朋宏(ちとせグループ代表):

高木先生から最初に奈良先端大で授業をさせて頂く機会を頂いたのはもう10年以上前です。最初の頃は学生達と10歳も歳が離れていなかったし、80名近い学生たちと一体感のある良い空間を作りながら授業をしていた自信があったのですが、いつの間にやら学生達とは20歳以上も歳の差ができてしまいました。

90分の講義の中で様々な例を挙げようとするのですが、最近では歌が上手な人の例を挙げるのさえ悩むなど、学生との距離のとり方に苦労しています。

昔はちょっと年上のお兄さんの話を聞いている顔だった学生たちも、いつの間にやら怪しい風貌のおっさんの話を聞く顔になっていて、怪しい風貌のおっさんが世間にどう受け入れてもらうかを模索するためにも大事な機会だなぁと感じています。

 

● 新規開発した抗体医薬品生産細胞の持つ “5g/L/4days” という高いポテンシャルについて学会で発表しました

9月に開催された生物工学会の本部企画シンポジウム「工学が見出すエッセンシャル細胞培養-動物細胞培養の根本に工学はどう立ち向かうか-」にて、ちとせ研究所 最高技術責任者の堀内が登壇しました。

登壇時の写真が無いため、実験している(風の)堀内の写真をぺたり

演題は「新規CHO細胞による抗体医薬品生産-5g/L/6daysの高いポテンシャルと工業化への課題-」。これは、MAB組合(※)を通じて開発した新規抗体医薬品生産細胞(以下、新規CHO細胞)の “5g/L/4days” という高いポテンシャルに関する発表です。

次世代バイオ医薬品製造技術研究組合(通称:MAB組合)
バイオ医薬品の分野における日本の優れたモノづくりの技を有機的に集積し、実用化を見据えた頑健なバイオ医薬品製造技術を完成させることを目指して設立された産官学が一体となった取り組み

演題と数字が異なるのは(6days → 4days)、発表内容の提出〆切りから発表までの間に、培養条件の工夫により期間をより短縮することができたから。業界の方なら一目瞭然で、新規CHO細胞のポテンシャルの高さを感じていただけることと思います。

今回シンポジウムで発表した、世界随一の生産性を誇る新規CHO細胞。我々は、この細胞を通じて、バイオ医薬品開発の加速と製造コストの大幅な削減に貢献できると確信しています。

シンポジウムにいらっしゃっていた日経バイオテクの記者様がそのポテンシャルの高さに驚き、記事にしてくださいました。河田様、ありがとうございました。
ちとせ研、抗体を4日間で5g/L生産できる新規CHO細胞開発

 

編集後記

毎月書くネタよくあるよねと言われることが多いのですが、これでもネタを絞っているくらい常に書きたいことが山程あります。ちとせはまさにネタの宝庫。みんなと話せば話すほどに「うぉーもっとこれ伝えたいー」とウズウズすることが多く、さていつどのタイミングでどうやって発信しようかと考えを巡らせる日々。

ある一定の成果がみんなの目に触れるまでには、膨大な準備期間と多くの人の関わりと想いがあるのだということを、ちとせで働き始めてから身をもって実感しています。

次回のHottopicsは11月上旬を予定しております。
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