
本記事は、2026年6月11日に配信したメールマガジン「Hot Topics vol.81」のアーカイブ版です。
こんにちは。ちとせグループの出口です。
件名の「え、言ってくれたら胎盤あげたのに」は、
約4年前、育休明け&コロナ禍で久々に出社したオフィスで私が実際に言った言葉です。
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遺伝子治療という言葉、最近よく耳にしませんか。
難病や希少疾患の治療に、遺伝子を直接体内に届ける治療方法。今まさに世界中で実用化が進んでいる分野です。
遺伝子を体内に届ける運び屋(AAVベクター)がいて、その運び屋(AAVベクター)を製造するための工場(細胞)がある。
その工場として世界中で広く使われている細胞は、1970年代生まれのベテラン細胞(HEK細胞)です。
この細胞、経験値豊富で確かにベテラン。
ただ、もともとは「研究用」として作られた細胞。
遺伝子治療市場の拡大とともに、運び屋(AAVベクター)をより効率よくつくるための技術開発も進んでいます。
その一つが、最初から工業生産を見据えた細胞づくりです。
そんな中、遺伝子治療の製造基盤を国産で整備する国家プロジェクトが立ち上がりました。
その取り組みの一つとして、新たな細胞の開発を担うことになったのが、ちとせの平井でした。
いうなれば、将来的に1970年代生まれのベテラン細胞の後継者となり得る細胞をゼロから探して育てるプロジェクト。
とある医療機関と連携し、出産を控えた妊婦さんの中で「胎盤を提供してもいい」という方を募るところからスタート。
(出産直後だった私としては、本気で「言ってくれたらあげたのに」と思ったのでした笑)
ここからが、平井の地道な2年間の始まりです。
人の細胞というのは、体の外に取り出すと、癌抑制機構などが働いてやがて老化し、分裂をやめてしまいます。
細胞を工場として使い続けるためには、「不死化」、つまり無限に増殖できる状態にしなければなりません。
特殊な操作を加え、不死化した細胞を選び抜き続ける。
それをちょうどコロナ禍真っ只中の約2年間、20人分の胎盤から平井はひたすら選抜し続けました。
1日12時間クリーンベンチの風(分かる人は手に取るように分かる光景かと…!)を浴び続ける日を、数え切れないほど過ごしたそうです。
そして誕生したのが、「HAT細胞」。
抗体医薬品向けの「CHO-MK細胞」に続く、ちとせ発の新たな細胞です。
従来の細胞よりも効率よく、品質の高い運び屋(AAVベクター)を生み出せる、期待の新人細胞です!
バラエティのある候補の中から、目的に合致するものを選び抜き、育てる。
言葉にすると簡単だけど、ものすごい忍耐と見抜く力が必要。
これができるのはちとせの強みであり、「HAT細胞」はその象徴のような存在です。
遺伝子治療の市場は、これからさらに拡大していきます。
平井が積み重ねた2年間も、きっとその未来を支える土台の一つになるはずです。
難しい話は記事に譲りますが、「へえ〜そんな細胞があるんだ〜」と思ってくださった方は、ぜひプレスリリースを、さらに深堀りしたい方は論文をぜひ覗いてみてください!
▼遺伝子治療用ウイルスベクター生産用宿主細胞として新たに開発されたHAT細胞が『Molecular Therapy Methods & Clinical Development』誌に掲載、商用提供開始【プレスリリース】
https://chitose-bio.com/jp/news/10719/
▼Establishment of a novel human amniotic epithelial-derived cell line, HAT, for high-yield AAV vector production【論文】
https://www.cell.com/molecular-therapy-family/advances/fulltext/S2329-0501%2825%2900189-5
それではまた、2週間後にご連絡させてください!
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