みなさまこんにちは!出口です。
ここ最近、MATSURIプロジェクトの動きがめちゃくちゃ活発なので、今回はMATSURIにフォーカスして情報をお届けしようと思います!

 

 
 

 

● 藻類産業を構築するプロジェクトMATSURIが加速中

C4稼働開始に伴い、4/4に開所式を開催

昨年末、完成間近とお伝えしたマレーシア クチンの5ha規模の藻類生産設備であるCHITOSE Carbon Capture Central(C4)がついに完成して稼働を開始しました…!

◆2023.3.20 藻類産業を構築するプロジェクト「MATSURI」を運営するちとせグループ 世界最大規模の藻類生産設備の稼働を開始
https://chitose-bio.com/jp/news/5124/


 

 

C4の稼働開始に伴い、4月4日にC4現地にて開所式を開催。

日本からは在マレーシア日本国大使館の髙橋克彦大使をはじめ、経済産業省や農林水産省の省庁の皆さまと、MATSURIにご参画いただいている企業様、金融機関様にも足をお運びいただきました。マレーシアの来賓とあわせると、およそ70名の方々にご出席いただき、大変盛況な会となりました。

◆2023.4.20 藻類産業を構築するプロジェクト「MATSURI」を運営するちとせグループ 世界最大規模の藻類生産設備の開所式を開催
https://chitose-bio.com/jp/news/5287/

一番右の星野(MATSURI発起人兼ちとせの執行役員 Chief Bio Engineer)は
とにかくリボンを切ることしか考えていない模様。どの写真を見てもこの状態でした笑
いい笑顔で壇上に立つちとせグループ代表の藤田。(左で腕を組んでいる男性の圧が気になります..)
参加者の皆さまと集合写真その1 @C4
参加者の皆さまと集合写真その2 @懇親会

 

 

開所式前日までアクシデントだらけでした

諸々の事情により開所式開催日が二転三転し、なんとか4/4に決まったものの今度はサラワク州政府より州首相(以下、プレミア)がその日は参加不可能になったとの連絡..。急遽開所式とは別に5/10に開所披露会を開催することとなり、4月の開所式と5月の開所披露会の準備を同時並行しつつ、現場では日常茶飯事のごとくあらゆる問題が発生。企画運営側のメンバーは他の進めていた仕事をストップさせ、少数精鋭でなんとか力を合わせて自転車操業状態(?)で必死に準備。また、社をあげてのイベントということで経営メンバーにもダイレクトに協力いただきました。

開所式前日、会場も整い企画メンバーの心にも少しばかり余裕が生まれた中、記念にレモンの木を植樹。

しかし、記念の写真、大事な鶴マークがレモンの木で真っ二つに。。
そして真っ二つにされた鶴の呪いなのか・・・、開所式前日であるこの日の夕方にトドメの事件発生…!

突如激しい雷雨に見舞われ、2日かけて設営した会場がわずか15分で吹き飛んだ..。
写真の通り当日その場にいたメンバーは全身びしょ濡れに・・・。

びしょ濡れぐちゃぐちゃの中でも笑顔のメンバー。もはや笑うしかない?

メンバーや設営業者の方々の徹夜覚悟での復旧により、結果的にはなんとか無事に開所式当日を迎えることができました。(メンバーがその日ちゃんと睡眠をとれたのかは定かではありません)

何事もなかったかのように整った会場

開所式では、式典の最後に藤田がC4の開所を宣言したのですが、壇上に上がり、C4の立ち上げに奮闘してきたメンバーの晴れ晴れとした表情を見た途端、涙が溢れ、言葉に詰まってしまいました・・。そんな藤田を見たCFOの今井が涙し、なんとか持ち直した藤田が今井の涙に気づいて再び涙するという悪(好?)循環…。

涙をこらえる藤田
当日の社内のSlackでの様子

 

 

続いて5/10に開所披露会を開催

開所披露会は、ちとせ単独開催ではなく、Sarawak Biodiversity Centre、Sarawak Energy社と共同での開催。
サラワク州政府から大いに期待いただいているプロジェクトということで、サラワク州のトップであるプレミア含む州政府の要人が大勢お越しくださり、現地メディアも大勢押しかけ、参加者約250名の盛大な会となりました!

開所披露会会場の様子
現地メディアが押しかけ、この写真を撮影したメンバーももみくちゃに
取材対応の様子。大盛り上がりです
主催者代表挨拶で熱く語る藤田

そういえば、行きに多くのちとせメンバーが乗る予定だった飛行機が悪天候のため約12時間遅れとなり、朝から成田空港に集合したメンバーはそのまま空港で仕事をしながら待機し、夜旅立ったそうです・・・。

その状況に対し、「チームサンダーストーム」っていうチャットの名前がよくないんじゃね..?とつぶやくメンバーについ笑った私…

チームサンダーストームのチャットにて、登壇時にプレミアの名前をカンペなしで言うべく必死で暗記する藤田(開所披露会前日)

余談:チームサンダーストームは開所式を開催した前日の4/3の大嵐(=サンダーストーム)が来た際に立ち上げました。5月の開所披露会でも、サンダーストームにも屈しない、ちとせの強さを引き継ぎたいという担当者の強い思いであえてチャット名はこのままにしていたそうな。おかげさまで開所披露会の当日も、見事晴天に恵まれました!

式典だけでなく、プレミアや在マレーシア日本国大使館の狩俣公使等をお連れしてC4ツアーと写真撮影を実施。

C4は5haと非常に広いため、トラムにてプレミアをご案内。藤田がプレミアの隣だったこともあり、2人が密にコミュニケーションをとれたことで、サラワク州でのちとせのイメージ向上に繋がるとても意義ある時間になったことと思います。藤田の胸元の鶴よりプレミアの胸元の鶴の方が目立っていますね…!

開所披露会翌日に開催したC4見学会スタート時の様子

MATSURIパートナーなど約40名の皆さまにもお越しいただき、開所披露会以外にもC4見学会や懇親会なども開催。実際のC4を目の前に、藻類産業構築の実現に向けた現実的な事業検討のことや、率直な感想から世間話まで幅広い話が飛び交う3日間でした。

事前に写真や動画では何度もC4を見てくださっていた方々も、実際現地に足を運び実物を目にして、想像以上のスケール感に驚き、感動してくださっていました。中には涙を流す人もいたとか。

MATSURIパートナー企業の皆さまと
開所披露会翌日の新聞は一面C4だらけに…!TVでも報道され、YoutubeにもNEWSがアップされていました(https://www.youtube.com/watch?v=cbkrAKe4FZs

開所披露会前日までの約1週間、現地では必ず1日に1度は雷が伴うような大雨が降っていたそうですが、奇跡的に開所披露会や見学会を開催した3日間は晴天に恵まれたとのこと..!光合成基盤の社会構築を目指すちとせにとって、大変幸先の良いスタートとなりました。

メンバーが撮影した当日の空の様子。美しい青空です
開所披露会当日のパンチ有りすぎるちとせメンバーの写真を1枚

 

 

世界最大を更新し続ける覚悟と意思

PBRと呼ばれる立体的に藻類を生産する方式において、5ha規模というのは世界最大。また、C4での藻類生産には火力発電所由来のCO2を活用しており、産業分野から排出される排ガス中のCO2を活用した藻類生産の実証としても世界最大です。
※効率的な藻類の生産とその大規模化を叶えるには、オープンポンドと呼ばれる池のような方式ではなく、立体的な生産方法の方が適していることからこの方式を選択しています。

ところで、世界最大世界最大と書きましたが、、、5haという規模はたしかに当事者である私達からしてもものすごく大きいと感じますが、ちとせが目指している藻からありとあらゆる製品が生み出される、化石資源に頼り切りではない世界をつくるためには、まだまだびっくりするほどちっぽけな大きさです。

2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、私達は1000万haの生産規模を目指しています。とてつもない規模感ですよね。全く想像がつきません・・・。1000万haというのは世界のとうもろこしの生産面積の1/20に値するそうなのですが、そう言われてもなお、やっぱりイメージが湧きません。1000万haの生産規模を実現すれば、60円/kg以下の生産コストで7億トン/年(乾燥重量)の藻類を生産しつつ、同時にCO2は年間14億トン削減でき、経済波及効果は600兆円に値すると見込んでいます。

もう少し手前のマイルストーンとしては、2030年時点での2000ha規模での生産。現在の5ha規模の400倍です。こちらは現実的に各方面と話を進めているところです。

そして、5haの設備が稼働開始してばかりではあるのですが、実は100ha規模の設備を作ることが既に決まり、建設開始に向けて動き始めています…!
このための資金は、先日採択されたNEDOのグリーンイノベーション基金にて賄われます。

◆2023.3.27 NEDOのグリーンイノベーション基金事業に総額500億円規模のテーマが採択 -ちとせグループが運営する藻類産業を構築するプロジェクト「MATSURI」が規模拡大-
https://chitose-bio.com/jp/news/5188/

 

 

最後に

化石資源中心の世の中から藻類を基盤とした社会に変えていこうという「MATSURI」プロジェクトにおいて、藻類の生産規模拡大と同時並行で進めているのが、藻由来の製品開発です。C4から出る藻類バイオマスを活用し、MATSURIのパートナー企業の皆さまとともに絶賛進行中です。今後、あらゆる藻由来の製品を手に取れる形で世に発表していきますので、ぜひ楽しみにしていてください!

最後に、C4の建設ストーリーを1本の動画にまとめました。
メンバーの熱い想いと、5haの規模感をほんの少しではありますが垣間見ていただけるかと思います。ぜひともご覧になっていただければ幸いです。

余談:ドローン撮影をブルネイの業者に依頼したのですが、ドローンが税関でひっかかり、撮影でおさえていて3日間の最後の日にギリギリ現地に到着。操縦失敗して1つ使い物にならなくなったりもしたそうでアクシデントだらけの楽しい(?)撮影だったそうな。

想定される穴に落ちるのはもはや当たり前。穴に落ちた分だけ経験値があがり次に繋がるから穴に落ちるのは大歓迎!と、MATSURI発起人の1人であり、大規模生産の責任者である星野がにこにこしながら発言していたのを聞き、世界初に挑戦するってのはそういうことだよな、と妙に納得した私でした(でも穴にはなるべく落ちたくないです)。

 

 

● 編集後記(という名のもはやコラム)

20代後半の頃は公私混同したい派だった私。
アフター5(死語・・・?)を充実させようと考えるくらいなら、仕事自体が充実してるほうが良くない?終始仕事のことを考えてしまうくらいに夢中になれる面白い仕事なら、それこそ人生豊かになるし絶対その方がいい…!と考え、2013年ちとせに転職。文字通り、公私混同状態で楽しく(ときに、いや、しょっちゅう苦しくもなりますが笑)働いてきました。

でも、人生にはフェーズがあって、今自分は何を大事にすべきかを考え直し、時間の使い方を整え直すべきタイミングがやってきます。里帰り先の実家にて前駆陣痛の最中でさえも働いていた私ですが(自分の意思なのでご心配なく…!ちとせはもちろんきちんと産休育休とれる環境です。私が少しイレギュラーなだけ。)、娘が生まれて仕事復帰してからは、やはり優先順位が変わり(というか変えざるを得ない)、時間の使い方が変わり(というか変えざるを得ない)、あえて仕事のことは一切考えないように頭を切り替えることが増えました。

それでもどうしても娘の世話をしながら仕事をすることは多々有り、そんなとき、娘には必死に「まま、まま、ままーーーーー!!!(ばしばしばし ←叩かれる)」と私を見て私の相手をしてこの本読んで一緒に踊ってー!と訴えられます…。ああ・・・仕事も育児もどっちも中途半端・・・。と、Negative出口のときはときに落ち込んだりもしますが、基本的にはどっちも楽しくてどっちも本気のつもり。

でも、わかりやすく仕事に使える時間は減っているため多方面にご迷惑おかけしています・・・。周りのみんなに感謝しつつ、これからも常に整え直しながらそれなりにメリハリつけつつ楽しくちとせライフを送りたいと思います。

一人では到底たどり着けないような想像を遥かに超えた場所にたどり着けるのが、仲間と一緒に働く醍醐味。支え合いながら、人生の波を補い合いながら、これからもちとせ号で大海原を航海し続けたい。(と今のところは思っている)