生き物たちの力を借りて豊かな未来をつくるバイオベンチャー企業群、ちとせグループ。このシリーズでは、企業という有機体を構成するひとつひとつの細胞である「ひと」にフォーカスを当て、ちとせの全体像を描いていきます。
浅野真子(あさのまこ) Tech & Biz Development Div. 所属/2023年10月入社 ちとせ研究所 ヘルスケア領域。管理栄養士。スポーツ選手の健康サポートや腸内環境を整える大切さを市民に広める活動に従事。元来のスポーツ好き、ごはん好きで、自分の「好き」をそのまま業務に活かす。さらに鬼に金棒の「コミュ力」を駆使し、全国各地で信頼関係を築きながら、幅広い層の人々の健康に貢献している。
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———今回は個人的に仕事の外でもたくさん交流がある、浅野真子さんのインタビューです。この日をとても楽しみにしていました。いつも通り「真子」と呼んで進めさせてもらいます!では初めに、お仕事の紹介をお願いします。
よろしくお願いします!まず、私が従事するヘルスケア領域の業務は「国の研究機関が集積した数万人単位の腸内細菌・生活習慣のデータを解析し、新たな知見を見つける活動」と「最新の腸内細菌・健康に関する研究成果をスポーツ選手を中心に還元しパフォーマンス維持・向上をサポートする活動」、さらに「一般の方が科学に基づく正しい情報を選べるように、草の根で伝えていく活動」の、大きく分けて3つの取り組みがあります。その中でも私は2つ目と3つ目の関連で、スポーツ選手の不調改善や目標達成に向けた取り組みのサポートと、草の根の活動を推進する部分を担っています。
———なるほど、それを日々の業務に落とし込むとどんなイメージになるのかな?
日によってバラバラですが・・・「スポーツ選手のサポート」の業務では、選手たちから食事データをもらって、それを元にしてアドバイスしたり、選手やコーチたちに向けたセミナーなども行ったりしています。「一般の方々に還元する」という観点では、勉強会の開催のための資料作りや、自治体や学校法人との調整が主な業務で、都内はもちろん愛知、香川、大阪など各地を飛び回っています。
———スポーツが大好きなことと、管理栄養士の資格をドンピシャで活かせそうな業務ですよね! 学生時代はどんなことを勉強していましたか?
大学生の頃は「認知症に効果のある成分の探索」と、スポーツ栄養について学んでいました。特に、スポーツ栄養に興味を持ったきっかけが明確にあって、高校生の頃、バスケの試合の前日にゲン担ぎで「カツカレー」をよく食べていたのですが、なんとなく調子の悪い試合が多かったんです。緊張のせいもあるのか、身体が重いと感じることが多くありました。ある日、栄養学に関するセミナーを受ける機会があり、そこで油物が良くなかったと知りました。それ以降、普段の食事を崩さないようにしたり、魚を食べるようにしたりと食事の面で気を付けるようにしてからパフォーマンスが上がった気がして、それが自分にとって衝撃だったんです。これを知らない人がいっぱいいると考えると、もったいないと思ったんです。
それに食べることが大好きなので!美味しいものを食べて、しかも自分のためになるって最高じゃないですか?みんなにもプラス思考でごはんを食べてほしいと思っています。
———真子の自己紹介のスライドで見た「好き:酒、寿司、肉」が、本当に真子らしいなって(笑)それに少し前まで自分が栄養学のセミナーを受ける側だったのに、むしろ今は自分でセミナーや勉強会を企画する側になってる。色んなところで種を蒔いてどこかで「ミニ真子」みたいな人が増えていたらいいね。
——— 他のメンバーとは日々どんな雰囲気ですか?
めちゃくちゃ仲いいですよ!よく飲みに行きますし。特にヘルスケアの同期とは週に一回お昼ご飯を食べながらオンラインで繋いで、困ったらすぐに話し合うし、「こんなことをやってみたいんだけど」の壁打ち相手にもなってくれます。あと、ここの会社の人たちって分からないことを聞いたらみんな嫌な顔一つせず、喜んで教えてくれるんです。別にそこまでは聞いてないんだけどな~ってぐらい丁寧に!笑(←おい)
———確かに風通しはいいよね。実際、KSPのオフィスも、部署ごとに壁があるわけでもないし、座る場所が決まっているわけでもないし。
風通しってそっち!?でも本当にそうなんですよね、喋りたい人や話を聞きたい人の側にふらっと行けて。私、オフィスめっちゃ好きなんですよ!
———スポーツと食事、本当に好きなことを仕事にしている様子だけど、特にどんなところにやりがいを感じますか?
自分が企画や準備をしたイベントに参加してくれた方が「おもしろかった」とか「こんなにいい活動をしているのだから、もっと多くの人に広めるべき」とか、背中を押す言葉をかけてくださるのはとても嬉しいです。それに、サポートし始めた選手たちが実際に食生活を変えてくれたり、さらに調子がよくなったと実感してくれたりすることにも、大きなやりがいを感じます。プロの選手とはいえ、食生活については意識しきれていないことも多いので。もっと応援したくなっちゃいますね!
———試合のある日はほとんど分刻みで勝ってるか調べて一喜一憂してるもんね(笑)
当たり前じゃないですか!こんなに心を込めてサポートしてるんですから!
———ちとせに入社したきっかけは何でしたか?
高校の恩師と先輩からの紹介、あとは「ちとせのひと」の江口さんの記事を見て、キラキラした会社だなーと思って!
———この仕事しててよかった~!私は今この瞬間、非常にやりがいを感じてます(笑)では、ちとせに入って、まず任された仕事は?
中医学の先生、スポーツトレーナー、整体の先生などなど、体にまつわる仕事をする様々な専門家数十名にひたすらヒアリングをしていました。いろんな職業の方々に、仕事内容や困りごと、腸内細菌への興味、これから仕事でやりたいことなどを聞いて回りました。私たちヘルスケアがやりたいことは「腸内細菌に関する正しい情報を広めていくこと」なので、そのために自分たちのデータや知見を、誰の、どんなニーズに活かせるかの指標を探しに行っていました。
いい加減な情報が世に出回ると、消費者の方々の期待する効果が出なかったり、下手したら健康被害が出たりして、「腸内細菌叢研究」自体がインチキ・疑似科学だと思われてしまいます。消費者の方も正しいものを見極める目を持つことで、企業も科学やデータに基づいた製品や情報しか出せなくなる。そうすれば少しずつ悪いものは駆逐されて、消費者ももっと良い商品にアクセスしやすくなる循環ができると私たちは考えているんです。
専門家の方々にアプローチをしているのも、その方がその先にいる一般市民の方々へ広まりやすいと考えているためです。知識を広める、とばかり言っていると少し偉そうに聞こえますが、自分にとっては「正しい情報が分からなくて困っている人の助け船になりたい」という表現がしっくりくるかもしれません。
———やりがいの裏には必ず苦労もあると思うんだけど、今はどんなことが大変?
今はひたすら0から1を作るフェーズなので、その点はすごく難しいと感じます。前例がなく誰もやったことのないことやっているので、常に歩きながら考えてる。
———えっ、二宮金次郎?
「動きながら」考えてる!!笑 イベントをたくさん打っているうちに原点である「ニーズに応える」ということを見失いがちなんですが、あくまで求められていることを私たちのデータや知見を活かしながら一緒にやっていくんだという風に考えています。それと、イベントを開催すること自体が目的になりかねないので、常に「これで大丈夫なのかな」という不安を頭の片隅に置きつつ、動きながら考え続けている状態です。
———なるほど。では、ちとせでやりたいことって何かある?
いっぱいありますよ!まずは一人でも多くのスポ―ツ選手が自分の働きによって、パフォーマンスを上げること。それと、管理栄養士を志す学生たちのロールモデルになりたいです。管理栄養士の仕事って、そもそもあまり働き口が多くないですし、あっても低賃金だったりとか、能力が高いのに自分の強みを活かせる機会が限られていて、職業として大変なんです。管理栄養士である私がちとせに入って、自分らしさをこんなに発揮して働ける環境があるのだから、後輩たちにも同じようにやりがいをもって働いてもらえたらって思います。
それに一番思うのが、こんないい会社を広げたいし、広めたいです。大きくもしたいし、みんなにも知ってほしい、という意味で。自分たちはせっかく胸を張れるようないいことをしているのに、自分の身の回りであまりちとせを周りに知っている人は多くありません。理系の人の中にはちらほらいるとは思うんですが。多くの人に広める、という点はヘルスケアの仕事をする過程で私が担えたら、とは思ってます!
——— すごい、一緒に広報する?(笑)じゃあ真子が広めたい「ちとせらしさ」って何だろう?
変!とにかく変な人がいっぱいいて、変な人同士がお互いを補い合っている。でも「うちって変なんですよ」ということを自慢げに外の人に言っている自分もいます。それと「ワクワク感」ですね!入社前に会社のウェブサイトを見た時も、「ちとせのひと」の記事を読んだ時も、今でもずっとワクワクしてます!採用面接で志望動機を聞かれても「ワクワクしたんで!」の一本槍で(笑)事業内容もよく分からなかったし、実際入社した後も難しい事業ばかりだし。でも、ここはワクワクしながら、いい顔で働いている人ばかりだということはよく分かります。
——— ちょっと質問がディープになってくるけど、千年先まで残したい「ちとせの価値観」って何かある?
色々ありますが、結局のところヘルスケアのミッションですかね。正しい情報を自分で判断できる人が増えて、売れるべくして売れるものが増えて、良い商品がきちんと必要な人の手元に届くようになっていればいいなと思います。
———なるほど・・・そう考えると、藻類事業の「正直祭」も農業事業の「千年農業」も、どれも繋がってるんだなって。例えば今、東南アジアで広く行われている農業では、酷使されてやせ細っていく土壌や、従事者の低い賃金が問題視されて、持続可能な経済が成り立ちにくい状況にある。だけど「千年農業」では、豊かな土壌を維持するようなやり方で、美味しい農作物ができあがって、適切な価格で取引されて、農家さんもきちんと利益を得ることができる、「売れるべくして売れる商品」が循環するビジネスモデルだよね。結局はそれはヘルスケアのミッションでもあるし、会社自体で目指すところでもある。
まさにそれです!良い商品や正しい情報が健全に市場に回るためには、良いものにお金を払う消費者がいなくてはいけない。その賢い消費者を作るためには、やはり正しい知識が必要ですよね。で、その正しい知識を広めるのが今の私たちの役目だと認識しています。
———もう素晴らしい記事、確定です。ありがとうございます(笑)話は変わるけど、広報って、色んな事業の話をこういう形で聞けてすごく楽しいなって思う。私自身、狭く深くというよりは、色んなことを広くつまみ食いして、それを色んな人に見せびらかすのが好きだから(笑)
私は他の事業のことはあまり詳しくないですけど、自分の仕事を一言で言うと「腸内細菌の栄養提案」なのですが、それだけだと言葉にあまり広がりを感じないじゃないですか。でもこういう切り口で自分の仕事を見つめ直すと、自分の活動のひとつひとつがちとせの千年先に繋がっているんだなって実感します!
——— 真子がずっといいこと言い続けるから、キーボードを打つ手を止められません(涙)最後に、ちとせへこれから応募を考えている方へのメッセージをお願いします!
できないことがあっても、できることは絶対にあると思います。自分にとって、パソコンや理系の知識や英語が苦手とか、苦手なことは色々ありますが、私にしかできないこともあります。どんな人にも今まで培ってきた力があるし、ちとせにはそれを発揮する場所や、それを見極めてくれる人が絶対にいます。
自分なんて「ワクワクしたから」一本槍で入社したんですから!入社した後は、分からないことは分からないと言って、そしたらみんなが教えてくれるので大丈夫です。「これができないから通用しないかも」とか思わないで「これができるから活躍できる」という考えで、心が躍ったらぜひ応募してほしいと思います!
vol.1:ちとせのひと Vol.1 切江志龍 ~生き物と一緒に文化をつくる~
vol.2:ちとせのひと Vol.2 江口知輝 ~肉眼に見えないもので、世界を変える~
vol.3:ちとせのひと Vol.3 林愛子 ~夢物語じゃない~
vol.4:ちとせのひと Vol.4 山村芳央 ~選んだ道を正解にする~
番外編:番外編:ちとせのひとびと
vol.5:ちとせのひと Vol.5 山本安里沙 ~全員が主人公、尖っていても調和する~
vol.6:ちとせのひと Vol.6 片岡陽介 ~エボリューションの中で生きている~
vol.7:ちとせのひと Vol.7 坂口航平 ~ぶつからず、補い合う~
vol.8:ちとせのひと Vol.8 浅野真子 ~ひとつひとつが千年先に繋がっている~