みなさまこんにちは!Communication Design Div.の出口です。
ちとせ歴は今年で11年目。常に変化の連続なので11年いても全く飽きない、むしろ刺激が強すぎて少しくらい落ち着きたい…とさえ思うくらいの最高な(!?)職場です。11年なんてあっという間!
出口として生きてきてもう何年経つんだよって話ですが、出口戦略や、〜の出口、といったワードに対して未だに少し反応してしまう自分がいます。私がいる場で私のことではない意味で「出口」というワードを使った人が気にしてないかなと私が気にするという意味での反応ですが(まわりくどいですね)。
濁点が多いと響きがかわいくないですよね。かわいい名字や高貴な名字にあこがれます。
ところで、AIとかDXとか言われるとそこで思考停止する私ですが(人をわかった風にさせるワードがニガテ)、今回はAIに関する話をメインでお届けします!!!AI!
● ちとせの開発したAIが微生物培養のプロに勝った!?〜AI自動培養制御システムの開発に成功〜
● 世界最先端のAI自動培養制御システムが見られる!京都大学/ちとせ研究所拠点の見学会を実施します
● 最近のニュース
・ 岸田首相の中東歴訪経済ミッションに随行いたしました
・ 塗料の脱石油化を目指す「武蔵塗料」で勉強会を実施しました
・ 第三者割当増資による総額31億円の資金調達実施
・ 経済産業省の公募「ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業」採択
・ テレビ朝日「ANNニュース」特集コーナーの取材協力をしました!
● 編集後記(という名のもはやコラム)
● ちとせの開発したAIが微生物培養のプロに勝った!?〜AI自動培養制御システムの開発に成功〜
なんとなんと、ちとせが開発したAI自動培養制御システム(※)が、その道うん十年の微生物培養のプロに勝ちました。そんなシステムを開発したんです、ちとせが。
と言われてもいまいちピンとこないでしょうか。
2017年5月、将棋AIの「Ponanza」が現役名人に勝利したとのニュースが話題になったことをご存知の方も多いと思います。
それと同じことが、微生物培養の世界でもおきた(=微生物培養版、Ponanzaを開発した)、と捉えてもらえると理解が進むでしょうか?(あれ?かわらない?)
微生物を活用したものづくり(微生物による物質生産)は、文字通り微生物という生き物を扱うことから100%システマティックに行うことが難しく、「五感」や「勘」といった数字では表現しにくい曖昧な要素を含むいわゆる ”匠の技” な部分が今もなお駆使される領域です。このような「匠の技」は誰でも簡単に再現できるものではなく、継承や習得に時間がかかります。
そこでちとせでは、匠も生物学者もこれまで活用してこなかったけれど、微生物の培養槽内で起きている「何らかの変化」を経時的に捉えるセンサーデバイスを独自開発しました。そして、このセンサーデバイスから得られるビッグデータ(これをちとせではコンボリューショナルデータと名付けました)を学習したAIが、培養が常に最適な状態になるように自動的にコントロールするシステム(=AI自動培養制御システム)を完成させたのです!
さらに、協和発酵バイオ社と共に本システムを活用した実証試験を行ったところ、「匠」の生産量を約10%上回る生産性を達成!これは、本システムがリアルタイムで培養条件を制御し、培養状態が常に最適化されたことで達成できた結果です。
通常、人が培養の最適化を行う場合、pHや温度を細かく変化させるような制御はしません。しかし、本システムではpHと温度をAIにより制御することで、しかも人には理解できないような制御(以下のグラフの赤線を見るとわかるように、上げたり下げたりの調整が頻繁に行われています)により「匠」の生産量を約10%上回る生産性を達成しています。
ちなみに、実証試験に使用した菌株は産業用に検討中の株で、協和発酵バイオ社の中で十分にプロセス開発が行われた株であり、この条件でいけばこのくらいの結果が出る、ということはわかってはいるが、その結果を安定的に出すことが難しいじゃじゃ馬な菌(!)をあえて選んだとのこと。じゃじゃ馬な菌も、ちとせ独自のAIの手にかかればなんのその…!?
実は、昨年の夏頃までは機械学習モデルがダメダメで培養予測どころではなかったそうです。しかし、データ設定など諸々見直したところ、秋ごろから真の力を発揮…!機械学習は前処理が8割といわれていますが、その前処理部分にもちとせ独自の技術がある、ということでしょう。
このシステムを実用化して微生物を活用したものづくりへの参入障壁を下げることは、より多くのバイオ生産品が世の中に増えることにつながり、ひいてはバイオエコノミーのさらなる拡大に大きく貢献することができるはず・・・・!ちとせでは引き続き本システムの開発を継続し、バイオ生産に広く活用いただける基盤技術にしていきます。
▷より詳しくは以下のプレスリリースをご覧ください!
ちとせ:https://chitose-bio.com/jp/news/5747/
NEDO :https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101685.html
※本件は、国立研究開発法人新エネルギー・産業総合開発機構(NEDO)の事業「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」による成果です
ここで、本事業の責任者である河合から一言
ところでここからは余談。
実は今回の成果につながる大本のアイデアは、2017年末、ちとせの代表である藤田が妻子を品川の自宅に残し、大崎のホテルに数日引きこもって考え出したもの。将棋AIの「Ponanza」とGoogleの碁のシステムを勉強し、アイディアを導き出したそうです。
だいたいいつもそうなのですが、最初はほとんどのメンバーが藤田が言ってることを理解できずポカン…(笑)(今ではちとせを代表するプロジェクトとも認識されているMATSURIプロジェクトも例に漏れずそうでした(笑))
経産省内で開催された業界の方々を集めたとある会議にて、このアイディアを披露したときは意外と理解してくれる人が多く反応が良かったそうですが、企業人は良くて半分、学者に至っては誰も理解してくれないと嘆いている当時のメールが記録に残っています。
このアイディアの肝となるデータのことを『コンボリューショナルデータ』と名付け、これを誰が見ても理解出来る資料を作ると言ってできた資料が以下。これを見せられたとき、ついつい「え、まさかあのとき言ってた誰が見ても理解できる資料ってこれですか?」と聞いた私でした…。だってただの文字だらけの資料なんだもん…。
ちなみにコンボリューショナルデータのことを当初は「崇高データ」と名付けていた藤田。
経産省の課長さんにちょっと宗教感が強すぎる・・・と言われ、名称変更したという経緯があります。(個人的には崇高データの方がインパクトがあって記憶に残りやすくて好き。あと、なんだかこの名称めちゃくちゃ藤田さんっぽくてそれもイイ(笑))
そして、コンボリューショナルデータ、だと名前が長すぎるので社内ではコンブデータと呼ばれるようになりましたとさ。昆布・・・。
その後、2018年6月、「コンボリューショナルデータの収集及び企業横断的活用事業」が経産省の補助事業として採択され、2019年9月にはNEDOによる補助事業「コンボリューショナルデータを活用したバイオ生産マネジメント」にちとせが事業リーダーとして採択。本事業は業界横断の共有データ基盤を作ることが目的で、人にアドバイス情報を提供するようなAIを作るところまでが目的、成果としてそのためのシステムやデバイスが出来上がりました。そして2020年6月より、AIが自律的に培養状態を最適化する自動制御をするとこまでを目的とした「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」がNEDOによる委託事業に採択され、今回の成果に至りました。
2018年に下準備、2019年に運転補助のシステム(あくまで補助なので運転は自分でする必要あり)をつくり、2020年から開始した事業を経て自動運転のシステム(運転もシステムにお任せ!)にまで進化させることができた、と例えると伝わりやすいでしょうか。
もちろんまだまだ技術開発の余地はありますが、藤田の頭の中にしかなかった壮大な構想を、たった5年で『本当に匠を超えるレベル』までもってきたメンバーには頭が上がりません。
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本技術の開発に携わりたい方も絶賛募集中です!
▷微生物を用いた発酵生産プロセス開発の研究技術員[微生物]
▷微生物培養等の状態を最適化するデータ解析技術の開発研究員[バイオ生産×AI]
▷微生物培養等、バイオ生産におけるセンシング技術の開発研究員[バイオ生産×AI]
▷微生物培養等のデータの収集・解析に資するシステムの開発研究員[バイオ生産×AI]
https://chitose-bio.com/jp/recruit/5673/
● 世界最先端のAI自動培養制御システムが見られる!京都大学/ちとせ研究所拠点の見学会を実施します
京都大学/ちとせ研究所拠点は、AIによる自動培養制御技術の中心となる拠点を目指して2019年にNEDO事業の一貫として立ち上げた拠点です。
2023年度からは関西のバイオファウンドリ拠点の1つとしても位置づけられており、AI技術を活用した試作品製造の支援を行うこともこの拠点の目的となっています。
https://www.jba.or.jp/b-production/foundry/kansai/003.php
開発したAI自動培養制御システムはもちろん、その他にも様々なユーザーインターフェースを備えたシステムを構築しており、これらの設備とシステムは世界最先端!
そんな世界最先端の設備の見学会を実施することとなりました!
これからバイオものづくりに参入したいと考えている企業のみなさま、既に事業として回しているけれど生産部分に課題を抱えていたりより強化したいとお考えの企業のみなさま、ぜひこの機会に見学会にお越しくださいませ。
日時:10/27(金) 13:00〜(開場12:45〜)
人数:最大20名
集合場所:京都大学 北部構内 農学部総合館 1階 W106室
見学場所: 北部総合教育研究棟 地下1階
内容:技術説明と設備およびシステムの見学(所要時間2時間程度)
応募方法:下記フォームよりお申し込みください
https://forms.gle/Qv11im1YS82gZjcM9
※今回はタイミングが合わないけれど興味があるという方は、「info@chitose-bio.com」宛にお問い合わせいただければと思います!
● 最近のニュース
前回のHOT TOPICS発行が4ヶ月前だったので、お知らせしたいニュースがいくつか溜まっていました。写真と記事を一部抜粋する形でざっと紹介します!
▷岸田首相の中東歴訪経済ミッションに随行いたしました
『ムハンマド皇太子への挨拶やスピーチの場面で、CEO藤田は「藻類生産の観点から、広大な土地と強い日照量を有するアラビア半島に大きな可能性を感じている。これからアラビア半島を緑に染めていく」とのビジョンを表明しポジティブな反響をいただきました。』
https://chitose-bio.com/jp/news/5708/
▷塗料の脱石油化を目指す「武蔵塗料ホールディングス株式会社」で勉強会を実施しました
最先端のエネルギーや原料についての取り組みを加速させたいというバイオ化に積極的な武蔵塗料の想いから、技術系のみならず、企画系・営業系など様々な方々が集まり、どうやってバイオ塗料の価値を世の中にわかってもらうかを議論するための勉強会を実施。
「結局、石油ってなくなるの?」
「石油ではなくバイオ化する価値って何?」
「パリ協定以降、環境分野で野心的な目標を掲げる企業が増えたのはなぜか?」
など最先端のエネルギー・原料事情についてカギとなるテーマを中心に盛り上がりました。
ちとせでは今後もMATSURIパートナー企業の皆様と、石油とバイオの現状/未来について学び共に議論する勉強会を実施してまいります。ご興味ある方はぜひご連絡を!
https://chitose-bio.com/jp/news/5810/
▷ちとせグループ、第三者割当増資による総額31億円の資金調達実施
『調達した資金は、石油産業に代わる藻類基点の産業を構築するプロジェクト「MATSURI」を加速させるべく、藻類の生産規模拡大や製品開発に充当します。これによりカーボンニュートラル社会の実現に貢献し、千年先の豊かな未来に向け各社と共に取り組んでまいります。』
https://chitose-bio.com/jp/news/5791/
▷経産省の公募「ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業」に採択
ちとせの細胞で生産された医薬品が、世界中に広がるための拠点にしてまいります!
『引き続き新規開発品が増えているバイオ医薬品の原薬製造に対応するべく、当社におけるCLDサービスの受託キャパシティを拡張し、また、パンデミック等の際には感染症に対するワクチン製造のためのPCBの構築ラインを確保することを計画に組み込むことにより、有事のサプライチェーンの強靭化に貢献してまいります。』
https://chitose-bio.com/jp/news/5823/
▷テレビ朝日「ANNニュース」特集コーナーの取材協力をしました!
「藻の力で挑むCO2削減」と題し、ちとせの藻類研究ラボを林 美沙希アナウンサーが取材。代表の藤田がラボの紹介と藻類の可能性について語りました。
ありがたいことに公私共に反響を多くいただき、お昼のニュースって意外と見てる人が多いことを実感。Youtubeで動画が見られるのでぜひご覧ください!
https://chitose-bio.com/jp/news/5845/
● 編集後記(という名のもはやコラム)
優先順位をつける、って仕事の基本だと思います。
日々仕事をしていると、飛び込んできた急ぎの案件に時間をとられてしまい、本当にやるべきはずのことは具体的な締切はない場合が多く、そうなると大事なことほど後回しになり、後回しになるほどどんどん着手することも億劫になり、それが自分にとっての負荷になり、仕事全体のパフォーマンスが落ちるという超悪循環に陥ることがあります。。
お前何年社会人やってんだよ、まだそんなこと言ってるの?恥ずかしくない??
とも自分に対して思うのですが、いかんせん、油断するとそうなりがちなのは事実だし、私のだめなところだと自覚。
そう、このHOT TOPICSの執筆&配信も、とても大事な仕事だと認識しているはずなのに、他の諸々に押し出されてついつい蚊帳の外になりがちなのです。(蚊帳の外の使い方ちょっと変ですね笑)
そして代表の藤田に「次のいつだすの?」「いいかげん書いてよ」「できた?」と聞かれ続けるわたし・・・。
あーーーーーーーー、ちゃんと継続して書こう・・・。よし、もう次回のHOT TOPICS書き始める。(きっと誰も信じてくれない)