生き物たちの力を借りて豊かな未来をつくるバイオベンチャー企業群、ちとせグループ。このシリーズでは、企業という有機体を構成するひとつひとつの細胞である「ひと」にフォーカスを当て、ちとせの全体像を描いていきます。
坂口 航平(さかぐち こうへい) Tech & Biz Development Div.所属 / 2019年1月入社 ちとせ研究所のデータサイエンティスト。学生時代は化学の道を志すも、生き物の面白さに惹かれてバイオを幅広く取り扱うちとせに飛び込む。入社後、全くの未経験だったデータサイエンティスト職を任じられ、現在はAIを駆使した微生物の培養条件の予測などに従事する。 1日の流れ |
———坂口さんはちとせでデータサイエンティストのお仕事をされています。「データ」という言葉も壮大だし、「サイエンティスト」という言葉も壮大で、それが合わさった「データサイエンティスト」となると、もういよいよお手上げです!その辺りも説明しつつ、自己紹介をお願いします!
ちとせは複数の事業にデータサイエンティストがいますが、私はメトリクス領域でデータサイエンティストをしています。メトリクスでは、培養する人からデータを取ってもらい、それを元にAIを使って適切な培養条件を予測して、微生物の培養を制御するという仕事です。データを収集する機械であるデバイスの開発に関する業務もさせていただいています。
※ 「メトリクス」とは・・・何かから情報を収集し、そのままの形でなく管理に使えるように分かりやすいデータや数値に加工すること。
———いろいろと難しそうな言葉が並んでいますが…では基本的には、仕事をするときに自分のデスクの上にあるものって、PCだけ?あとそのカフェオレ?
確かに甘いものは常に手元にありますね(笑)PCさえあればどこでもできる業務なので、時々実家に帰って仕事をすることもあります。
———ブドウ糖をたくさん消費しそうなお仕事ですもんね!学生の頃は何を勉強していたんですか?
研究室は「生化学」で、タンパク質とアミノ酸の中間であるペプチドを薬にするための基礎研究をしていました。元々の学科は化学だったのですが、たまたま選択した教養科目の授業で「動物生態学」という学問を知り生物にも興味を持つようになりました。そこで、生物と化学のどちらも学べる研究室に入りました。
———ちとせに入る前は何をされていたんですか?
前職は技術派遣の会社で実験の実務をしていました。色々な職場を転々とすること自体は面白かったのですが、あまり自分の技術が積み上がっている気がせず、どこか一社に決めたいと思い転職を決めました。
———何をきっかけにちとせを知ったんですか?
転職活動をしている時、「生物工学会誌」で目にしてちとせを知りました。バイオ系キャリアをテーマにしたページで、COOの釘宮さんが投稿されていた記事を目にしたことがきっかけです。
———確かに、この記事をきっかけにちとせに入った人も何名かいるようです。バイオ系の企業って他にもいろいろあると思うのですが、なぜちとせにピンと来たんでしょうか。
記事をきっかけに名前を検索して、ホームページを見てとても面白そうだなと感じました。そもそも微生物のビジネスをしている企業は少ないですし、微生物と言っても細胞や菌や藻など、色々な事業を扱っている。それと、バイオベンチャーにありがちな「この技術一本でやってます!」というのがない。自分のやりたいことがどう転ぶか分からなかったので、幅広い事業を扱っているということは重要な決め手だったかもしれません。
———研究室や前職と関わりのありそうな細胞でも発酵でもなく、メトリクス領域担当になったんですね。
自分が入社したころは、酵素を使った研究を発酵領域がしていて、本当はそれが出身研究室で学んでいた内容と近かったのですが、当時は枠がありませんでした。一方で、立ち上げ直後のメトリクス事業で「データサイエンティスト」の枠が空いていて、打診を受けたという経緯があります。
———データサイエンティストって、今までやっていたことと何か関連あるんですか?
いえ、全くありません(笑)
———自分の学びの積み重ねがクリアになって、ゼロから再び積み上げることに抵抗はなかったのですか?
あまり抵抗はありませんでした。普段から自分が面白いと思ったらなんでもやってみる性格なので、新しいことにチャレンジするのは自分にとって特に違和感のないことでした。
―――ぱっと画面を見せてもらってとても難しそうなのですが、どうやって覚えたんですか?
基本的には本やネットを使っての独学で、分からないところは先輩や上司に教えていただいて習得していきました。実際にやるのが一番早いですね。
———なるほど。最近はどんな業務をされているんですか?
毎日もくもくとパソコンに向き合ってカタカタしているのは変わらないのですが、入社当時から取り扱うデータの種類はかなり増えました。それに最近はモデル周りを扱うようになりました。
―――すみません、モデルって何でしょうか・・・
裏で動いているアルゴリズムのことです。電卓でいえば、1 + 1が2と出る仕組みのことです。機械の脳みそにあたる部分と言えるかもしれせん。この図の、人の頭の形をした部分に当たります。
―――とても難しそうなお仕事に聞こえるのですが、どんな時にやりがいや楽しさを感じますか?
自分は理系脳なので、どうやったら上手く解析できるかという仮説を立てて、実際にやってみるというサイクルを繰り返すのが楽しいと感じます。そのサイクルの中でも「どうやったら上手くいくかな」と考えるところが一番楽しいです。
―――つまり、予測が当たる楽しさですか?
予測結果が当たったときというよりは、考えているプロセスですね。当たればもちろん嬉しいですが、感覚的には謎解きとか、数学を解いている時に近く、考えていること自体が一番やりがいを感じます。
―――それってすごいですね。たぶん普通は「プロセスは苦しくても、結果を得ることで報われる」と考える人が多いと思うのですが、「過程自体がやりがい」というのは最強です。だって、結果を得る瞬間よりも過程を過ごす方が長いですから。
―――ところで、チームメンバーとはどのような雰囲気で働いていますか?
割と淡々としています。PCさえあればできる仕事で、皆さん在宅が多いので、ミーティングの時にオンラインで顔を合わせるぐらいでしょうか。
―――去年の夏のフットサルには参加されてましたね!
はい。CEOもCIOも走り回っていてすごいなと思いました。自分が同じような年齢になったときに、あんな動きができるのか・・・それと、社長に遠慮することないなって思いました(笑)
―――そうですね、社長もガンガンぶつかって来てくれますからね!(物理的に)
―――坂口さんにとって、ちとせらしさって何だと思いますか?
自分の意志や考えなどといった、「スタンス」を持っている人、また仕事の上でもしっかりと専門性を持っている人が多いように思います。いい意味で尖った人。
―――尖った人ばかりだとぶつかりそうですが、その辺りはどうですか?
それぞれの一流が集まっているので、ぶつかるというよりむしろお互いに補いあうことができるのだと思います。自分の専門外のことを聞いても、ちゃんと返してくれる、頼れる人が多くありがたいです。それぞれ皆さんバックグラウンドが違うので、いろんな角度からアイディアや意見が出るのが楽しいですね。
―――最後に、ちとせへ応募を考えている方へのメッセージをお願いします!
大企業型の安定を求める人には向かないかもしれないけど、幅広く「バイオ」に興味があるならとても面白い会社だと思います。今の仕事や研究と直接関係なくても、何かの専門性を持っている人にはぜひチャレンジして欲しいです。専門性を身につけられているということは、それに向けてしっかり動けるということですから、今までと違ったことでもきちんとやり通せる人なのだと思うので。そんな方をぜひお待ちしています。
関連情報
[プレスリリース] AIによる自動培養制御システムの開発に成功! -微生物を活用した機能性食品素材開発において人では不可能な高精度な培養制御を実現-
vol.1:ちとせのひと Vol.1 切江志龍 ~生き物と一緒に文化をつくる~
vol.2:ちとせのひと Vol.2 江口知輝 ~肉眼に見えないもので、世界を変える~
vol.3:ちとせのひと Vol.3 林愛子 ~夢物語じゃない~
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番外編:番外編:ちとせのひとびと
vol.5:ちとせのひと Vol.5 山本安里沙 ~全員が主人公、尖っていても調和する~
vol.6:ちとせのひと Vol.6 片岡陽介 ~エボリューションの中で生きている~
vol.7:ちとせのひと Vol.7 坂口航平 ~ぶつからず、補い合う~
vol.8:ちとせのひと Vol.8 浅野真子 ~ひとつひとつが千年先に繋がっている~