拝啓、MATSURI現地視察会 in クチンにご参加くださった皆さまへ。私は今、マレーシアはサラワク、プルマンクチンホテルの1024号室で、一人ひとりのお顔を思い出しながら書いています。そうです、あなたのことです(にやり)

さて、打ち明け話から始めてすみませんが、視察会に行くまで自分にとって参加者70名という数字はバサッとした数の束にしか過ぎませんでした。記事の執筆やSNS運用を主な仕事とする私は、普段はオフィスでPC画面に向かって作業をしている時間がほとんどで、あまりお客さまと話をする機会が多くないからかもしれません。しかしマレーシアから戻った今、その数字の束はいつの間にかほどけて、こうして一人ひとりのお顔を思い浮かべながらラブレター(!)をしたためずにはいられないほどになっています。では、たった1泊2日で何がどう変わったというのか。ご参加くださった皆さんの言葉を拾い集めながら、現地視察会の旅を振り返ってみようと思います。

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マレーシア クチンにて、MATSURI現地視察会を執り行いました

行程・概要
 日程:5月28日(Sarawak Biodiversity Centre視察、CHITOSE Carbon Capture Central視察、懇親会)、5月29日(講演会、パートナー交流会)
参加人数:MATSURIパートナー 70名(35社)、ちとせメンバー33名の計103名

5月28日の横顔、5月29日の瞳

視察会の行程は5月28日の朝からスタートしました。集合場所のホテルロビーに集まり、朗らかな様子で挨拶や名刺交換を交わしながらも、皆さんの横顔からは「C4がどんなもんか様子を見に来た」という雰囲気が感じられました。これは私たちちとせメンバーにとって大変緊張感が増すものでしたが、だからこそリアルなC4のオペレーションとちとせの本気を見ていただこうと、メンバー全員が全力でぶつかって行ったのでした。全力であるがゆえに不器用なところもあったかもしれませんが、SBC視察、C4視察、懇親会、講演会、パートナー交流会と、行程を経るにつれ皆さんの表情が変わっていくのを私たちは感じていました。

例えばある参加者の方は、こんな嬉しい言葉を残してくださっています。「今回の視察会は隣町のお祭りを覗きに来たつもりが、実際にC4やちとせの皆さんの様子を見て、自分も一緒に踊りたくなった。」そしてC4視察の最中にも、多くの方から「この課題は自社の技術で解決できるのではないか」「ちとせの課題は○○だと分かったから、自社の知見が活かせるはずだ」というような、一歩も二歩も踏み込んだ熱意を聞くことができました。そんな言葉をかけてくれた人々を記憶の中に思い浮かべると、それは盗み見た横顔ではなく、奥に火が灯ったような瞳が思い起こされるのです。

今昔「あいつは何やってるんだ?」物語

突然ですが、私たち人間は、虫が吐き出した糸を絹と呼び、貝からほじくり出した粒を真珠と呼んで高い価値を付けました。何事にも最初にやりだした人というのはいますから、大昔どこかの誰かが「あいつは何をやっているんだ?」とか言われながら、そのつやつやした粒に糸を通して首にぶら下げてみたりでもしたのでしょう。そしてそれは次第に広まり、今では世界中で渇望される存在になりました。絹や真珠が「シルキー」とか「パール感」といって有り難がられるように、そのうち「アルジー感」なんていう飾り文字が化粧品広告を彩る日が来たりして。というか、そんな日が1日でも早く来るよう全力を尽くしているのがMATSURIプロジェクトなのですが。

飛躍した話を現代に戻します。1日目の行程が終了後にホテルのバーで、参加者の方々とちとせメンバー数名で飲んでいた時のことです。ある方がにこにこと呟きました。「たぶんここに来てる人ってさ、みんなそれぞれの会社の中でちょっと変わった人扱いされてるよね。そんな人が集まっているのがMATSURIだよね。」

MATSURIという枠組みの中には、化粧品屋さん、金属屋さん、半導体屋さん、食品屋さん、車屋さん、樹脂屋さんなどあらゆる「〇〇屋さん」がいます。そしてその方の言うように、ここに来ている人というのは、そんな各社の中でもいち早く藻の可能性に気付き、周囲から「あいつは藻で何やっているんだ?」とか言われながらも、上司を説得して、MATSURI参画に向け自社を引っ張り、そして結局ボルネオ島まで行き着いてしまった人たちなのです。

虫が吐き出した糸が絹になり、貝からほじくり出した粒が真珠になりました。水に浮かぶ極小サイズの緑のツブツブが、人々のお腹を満たし、美容に貢献し、衣類になって人々を温め、ジェット機を飛ばします。緑のツブツブが日常に溶け込み人々の暮らしを支える未来を、MATSURIという「ちょっと変わった人たち」が全身全霊で実現します。

MATSURIが面白いに決まっている理由

ある方がこう語ってくれました。「同業他社であっても、目的とするところは一緒かもしれない。お互い切磋琢磨することでコストも下げられるし、他社がどういうことを考えているのかは非常に興味がある。目的とするところが同じなら、一緒にやりたいという気持ちがある。」また、別の方は「以前は競合だと考えていたが、今は同じ業種の同じ産業を構築する仲間だと考えている。その仲間たちと共に技術や製品を世に広げていきたい。」とも。

MATSURIって個人的に面白いなと思う要素がいくつもあるのですが、その中で私が一番アツいと思うものがこれ。つまり普段はしのぎを削って競い合うけど、なんやかんやあってライバル同士が共闘するという、映画や漫画でしか見ないやつ。人の心を熱くさせる、古典的とさえ言える関係性がMATSURIには実在するのです。

前の座席から、資生堂 エグゼクティブオフィサー 池田さん、グローバルプロダクト価値開発センター担当 米水さん、スキンケア開発3G研究員 佐野さん、シャネル化粧品研究所 リサーチ&デベロップメントプロジェクトマネージャー 八巻さん、ちとせグループ エグゼクティブアドバイザー大越
左から、三井住友銀行 常務執行役員 内田さん、みずほ銀行 常務執行役員 足立さん、ちとせCFO今井


サラワクより愛を込めて

ここに書いた以外にも、食事を共にしながら、あるいはバスの中で、百戦錬磨のビジネスパーソンたちと色んなお話をさせていただきました。サラワクの太陽が日本から持参した遠慮や理性のようなものを溶かしてしまったのか、普段は聞けないようなことを聞いてみたり、言い淀んでいた気持ちを吐露してみたりが不思議とできてしまったのです。きっとそれは私だけではなく、ご参加いただいた皆さんもそうだったのではないでしょうか。「ぶっちゃけどうなん?」な質問や、様々な意見やアイディアが活発に交わされていたことがとても嬉しく、これだからMATSURIっておもしろい!が凝縮した1泊2日の視察会だったように思います。

この2日間の内に皆さんが心に宿した情熱は、滑走路を突き進むMATSURIの燃料です。乗り越えなくちゃいけない課題はたくさんあるけれど、これからもっともっと燃料を投下して100 haそして 2,000 haまで、楽しく忙しくアドレナリン全開でお付き合いください。そして最後に、今回の視察会にご参加いただいた皆さま、そして視察会を企画し支えてくれたちとせメンバー一人ひとりに、心よりラブと感謝を申し上げます!



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