「藻」と聞いて、何を思い浮かべますか?池に漂う緑色の物体、あるいは昆布やワカメといったお馴染みの海藻?

 

今、そんな藻類(そうるい)が、未来の暮らしを支える素材として注目されています。2025年大阪・関西万博、日本館では藻類がテーマのひとつ。そして、ちとせグループが主導するバイオを軸にした産業づくりを進める共創プロジェクト「MATSURI」は、日本館ファクトリーエリアで「『藻』のもの by MATSURI」をプロデュースしました。このショーウィンドウでは、藻類を素材にしたアパレル、化粧品、食品、塗料など、さまざまな「藻の物」が一堂に並びます。

 


ショーウィンドウ右上の企業一覧に名を連ねる一社、スズキ。誰もが安心して移動できる社会の実現と、地球環境と調和したモビリティづくりを目指し、「生活に密着したインフラモビリティ」を掲げて走り続ける企業です。その姿勢は、MATSURIの理念や日本館ファクトリーエリアで掲げる「循環型ものづくり」とも重なり、今回、スズキは協賛企業としてこの取り組みに参加いただいています。本記事では、スズキがこの展示に込めた想いや、彼らが見据える藻類産業との未来についてご紹介します。

スズキ株式会社
1920年に織機製造を祖業としてスタートしたスズキは、日本のみならず海外にも事業を展開し、お求めやすい製品の提供を通じて、人々の快適で豊かな暮らしに貢献してきました。現在では日本を含めた世界22の国・地域で製造し、200以上の国・地域でご愛用いただいています。今後も四輪・二輪・マリンといったモビリティを軸とした商品・サービスの提供を通じて、お客様の生活をより良くし、生活を支えていく、生活に密着したインフラモビリティを目指します。


 

―― 今回、協賛を決めた背景について教えてください。

いのち輝く未来社会へ、インフラモビリティの力で貢献を
今回、「いのち輝く未来社会のデザイン」という万博のテーマや、ちとせグループ様の持続可能な社会の実現に向けた取り組みに共感し、協賛を決定いたしました。スズキは、誰もが安心して移動できる社会の実現と、地球環境への配慮を両立するモビリティづくりに取り組んでいます。ちとせグループ様が推進されるバイオ技術や循環型社会の実現は、私たちが目指す「生活に密着したインフラモビリティ」と重なります。万博という国際的な舞台で、未来世代に向けて持続可能な社会のあり方を発信し、社会課題の解決に貢献したいという想いが一致し、今回の協賛に至りました。今後も、社会や環境と調和した価値創造を目指し、共に歩んでまいります。

―― 万博やMATSURIに関わる中で、初めて知ったことや自社内での意識の変化などがあれば教えてください。

MATSURIで広げる、視野、出会い、自社の価値観
万博やMATSURIプロジェクトに関わる中で印象的だったのは、バイオ技術や循環型社会の実現に向けた最先端の取り組みを間近に知ることができた点です。これまで自動車産業の枠組みで環境問題に取り組んできましたが、MATSURIを通じて、微細藻類など自然の力を活用した新しい資源循環の可能性や、異業種が連携して社会課題に挑む姿勢に刺激を受けました。社内でも「持続可能性」や「循環型社会」への意識が一層高まり、従来の枠を超えた発想や協業の重要性について議論が活発になっています。万博という国際的な場で、他業種の皆様と共に未来を考えることが、私たち自身の視野や価値観を広げる貴重な機会となっています。

――貴社の事業領域から見て、藻類産業の中で担える可能性のある役割についてどのようにお考えですか?

バイオ燃料から新素材まで、藻類との新たな接点
スズキはモビリティを中心とした事業を展開しており、環境負荷の低減や持続可能な社会の実現を使命としています。その観点から藻類産業には可能性を感じています。例えば、藻類由来のバイオ燃料はカーボンニュートラルなエネルギー源として自動車や二輪車、船外機への活用が期待されます。また、藻類から生まれる新素材は、車両部品のサステナブル化にも貢献できると考えています。さらに、藻類の生産過程でCO₂を吸収する仕組みは、私たちの事業活動全体の環境負荷低減にも寄与する可能性があります。今後も異業種連携を通じて、藻類を軸とした新たな産業づくりに関わり、持続可能な未来社会の実現に貢献していきたいと考えています。

―― 日本館展示への参加や、万博への関わり、あるいはMATSURIへの参画を通じて、どのような未来や変化を期待していますか?

垣根を越えてつながることで見えてきた、未来の選択肢
万博やMATSURIへの参画を通じて、産業や分野の垣根を越えた連携が加速し、持続可能な社会の実現に向けたイノベーションが生まれることを期待しています。バイオ技術や循環型社会の実現に向けた取り組みは、私たちの事業活動にとっても新たな示唆を与えてくれています。今後は、藻類由来のバイオ燃料や新素材の活用、カーボンニュートラルの推進など、環境に配慮した取り組みを含め、多角的な視点から持続可能性に貢献できる可能性を模索していきたいと考えています。また、異業種との協業やオープンイノベーションを通じて、社会課題の解決に寄与する新たな価値創造に挑戦し続けたいと思います。

―― 最後に、読者の方(万博来場者や未来世代)に伝えたいメッセージ、貴社がアピールしたいことなどあればお聞かせください。

モビリティの力で、豊かな暮らしと地球の未来を支えたい
スズキは、すべての人が安心して移動できる社会、そして地球環境と調和した持続可能な未来の実現を目指して挑戦を続けています。大阪・関西万博は、世界中の人々が未来について考え、行動を起こすきっかけになると考えています。私たちは、モビリティの進化を通じて、皆さまの暮らしをより豊かに、そして地球にやさしい社会づくりに貢献していきます。未来を担う世代の皆さんとともに、新しい価値や可能性を創造し、希望あふれる明日を築いていきたいと考えています。万博を通じて、スズキの想いや取り組みにも関心を寄せていただければ幸いです。