2025年大阪・万博日本館ファクトリーエリアの「『藻』のもの by MATSURI」は、藻を素材にした未来のものづくりを表現しています。
化粧品、食事、船舶燃料、衣類、いろいろな展示物があるけれど、私が一番頭を抱えてしまうのが「藻から樹脂ができる」ということ。

一体全体、何をどうしたら緑のちっちゃなツブツブが樹脂になるワケ???

全然意味が分からないので、頭の体操として「お料理レシピで例えたらどうだろう?」と思いつきました。用途開発担当者を捕まえて聞いてみたら、思いのほかすっきり分かりやすくなりまして、皆さんにもそのままお届けします。ここから先は、レシピサイトだと思って読んでください。


~おすすめポイント~

☆ギルティーフリー!
ボトルの材料となる藻は、育つ過程でCO₂を吸収しています。
だからリサイクルを繰り返して、ゆくゆくは燃やしてしまっても、大気中の CO₂
 は増えません(実質ゼロ)。

☆少量の水でOK!
意外なことに、材料となる藻は農作物や畜産物よりずっと少ない水で育ちます。

☆広い農地不要!
レシピの主役「藻」は、砂漠や荒地でも育てられます。
トウモロコシやサトウキビのように農地を使わず、食料とも競合しないのがポイント。
食料を育てられる豊かな農地では、食料を育てたいですもんね。


【作り方】

① 藻を育てる
CO₂と光をたっぷり与えて藻を育てます。

② 藻からオイルを絞る
収穫した藻を絞り、オイルを取り出す。
まだまだ色々なものが混ざっているので、見た目は石油みたいにドロっとした黒ですが、ご心配なく!

③ 取り出したオイルを綺麗にする
黒いオイルをこして、透明なオイル(ボツリオコッセン)を取り出す。

④ 鉄鍋で炒める
高温に熱した特製の鉄鍋に、透明なオイル(ボツリオコッセン)を投入し、触媒と一緒に一気に炒めてパラパラにする。
ここでアロマ(芳香族)がふわっと湧き立ちます。

⑤ エッセンスだけを取り出す
香る炒め油の中から、決め手となる液体(バイオパラキシレン)だけを取り出す。
これは全体の中でもほんのわずかしか取れない、貴重なしずく。
繊細な風味を守るため、すかさず冷やしましょう。

⑥ 酸素を付けて、粉状にする
取り出した液体(バイオパラキシレン)に酸素を加えて加熱して混ぜると、サラサラの白い粉(バイオテレフタル酸)ができあがります。

⑦ ペースト状にする
白い粉(バイオテレフタル酸)と、つなぎ成分(バイオエチレングリコール)を合わせて250℃ぐらいで加熱し、よく混ぜる。
次第にペースト状になります。この時の温度調整はかなり繊細で、天ぷら職人みたいな肌感覚でやるそう。
⑧ 押出機に入れて形状を整える
できあがったペーストを、押出機に通してパスタのように細く伸ばす。
麺のように細長くなったら、使いやすいサイズにカットして冷まします(ペレット状)。
これでPET樹脂の完成!

⑨ちょい足しレシピ
完成したPET樹脂のペレットは、熱で溶かして型に流した後に空気で膨らませば、おなじみのペットボトルに。
細く引き伸ばせば、衣類の繊維にも。
お好きな容器、お洋服、お好みのアレンジでお楽しみください♪
今回つくった藻由来のPET樹脂は、現在、世界で初めての、そして世界に一つしかない貴重な品として万博日本館会場でお披露目されています。だけど、いつかは世界中に流通するペットボトルが、石油に頼らず藻由来のものになる時代がくるかもしれません。そんな未来が一日でも早く来るように、MATSURIはコツコツと、そしてガツガツと、藻と産業を育てていきます。できると思います。だって、最初の道はもう切り開かれたのだから!